• 2024.10.01
  • 肺がん

女性に多い肺腺がん。初期症状とその対策は?

様々なタイプが存在する肺がんの中で、肺腺がんは非喫煙者の女性に多いがんと言われています。
その初期症状と対策について、本コラムでは詳しく解説しています。
まず、肺腺がんの基本概要について説明し、その後、症状や診断方法、治療法、予防策について解説していきます。
これらの情報により、肺腺がんの理解を深め、早期発見・早期治療に役立ててください。

1.肺腺がんの基本概要

肺腺がんは、肺の腺組織から発生する悪性腫瘍で、肺がんの中でも最も一般的なタイプです。
この病気は、呼吸器系の機能に重大な影響を及ぼし、進行すると全身の組織や臓器に転移する可能性があります。
肺腺がんの症状は、咳、喀痰、血痰、呼吸困難、痛みなど多岐にわたります。
肺腺がんは、適切な診断が難しい場合もありますが、CT検査や胸部X線検査、血液検査、痰検査などの医療検査によって早期発見が可能です。早期に発見された場合は、手術や放射線治療、薬物療法などの治療方法が選択され、比較的良好な予後が期待できます。しかし、進行が遅れた場合は、治療が困難になることがあります。
肺腺がんのリスク要因には、喫煙、大気汚染、家庭内の煙霧、遺伝的要素などがあります。喫煙の削減や、煙や有害物質の吸入を避けることで、予防が可能です。また、定期的な検診も早期発見につながります。
肺腺がんに関する研究は世界各地の研究機関で行われており、新しい治療法や診断法の開発が進められています。
これらの研究により、今後更に効果的な治療法の確立が期待されます。

肺腺がんの発生原因とリスク要因

肺腺がんの発生原因は、細胞の異常な増殖によるもので、喫煙や大気汚染、家庭内の煙霧、遺伝的要素などのリスク要因が関与しているとされています。
喫煙は特に肺腺がんの最も重要なリスク要因であり、喫煙者は非喫煙者に比べて肺がんのリスクが大幅に高まります。
また、放射線やアスベストなど、職業的な要因や遺伝的要因も肺腺がんの発症に関与することが明らかになっています。これらのリスク要因を避けることで、肺腺がんの予防につながります。
肺腺がんの発症には個人差がありますが、健康な生活習慣を心がけることで、リスク軽減が期待できます。定期的な検診も早期発見につながります。

 

肺腺がんの細胞組織と肺がん分類

肺腺がんは、肺に存在する腺組織から発生する腫瘍であり、細胞レベルで見ると、主に上皮細胞からなります。肺がんは、細胞の形態や性状によってさまざまな分類がされており、肺腺がんはその1つです。具体的には、扁平上皮がん、小細胞がん、腺がん、大細胞がんなどが該当しますが、腺がんはこれらの中でも最も一般的にみられるタイプです。
肺腺がんは、肺の組織に存在する腺から起こり、液体を分泌する機能を持つ細胞が異常に増殖してできる腫瘍です。肺腺がんは、さらにその細胞の形態や組織の特徴によって、いくつかのサブタイプに分類されます。例えば、乳頭腺がん、粘液腺がん、微小乳頭腺がんなど、異なる構造や形態が存在します。
肺腺がんの正確な診断は、細胞組織の鑑別診断と、肺がんの全体的な分類に基づくもので、適切な治療方法の選択や予後の予測に重要な役割を果たします。また、肺腺がんの病期は、増殖の進行具合や転移の有無によって、ステージ分類がされ、治療戦略や予後判断に役立ちます。
肺腺がんは、病理診断や、画像診断、細胞診、生検などの検査によって診断されます。

 

肺腺がんにおける男性と女性の特徴

肺腺がんは、男性と女性ではいくつかの特徴が異なります。
男性の場合、喫煙が主要な原因であり、肺腺がんのリスクが高くなります。特に、喫煙歴が長いほど、そのリスクはさらに高まります。
一方、女性の場合、喫煙との関連性はやや低く、遺伝子変異やホルモンの影響が大きく関与しているとされています。また、女性では非喫煙者においても肺腺がんが発生するケースが比較的多く、その原因はまだ十分に解明されていません。

2.肺腺がんの症状について

肺腺がんの症状は、進行の度合いや腫瘍の位置によって異なりますが、以下のような症状が一般的にみられます。
・咳
・喀痰や血痰
・呼吸困難
・胸痛
これらの症状は、他の呼吸器疾患とも共通しているため、最初は肺腺がんと気づかないことがよくあります。しかし、上記の症状が長期間続く場合は、医師の診断を受けることが重要です。
また、肺腺がんが進行すると他の臓器への転移が起こり、さらに様々な症状が出現することがあります。例えば、脳への転移で頭痛やめまいが、骨への転移で骨痛が現れることがあります。
早期発見が肺腺がんの治療成功に重要であるため、症状に注意し、定期的な健康診断を受けることが推奨されます。

初期症状と進行段階ごとの変化

肺腺がんの初期症状は非常に控えめであり、自覚症状がほとんどないことが多いです。しかし、進行すると徐々に症状が現れてきます。
以下は、肺腺がんが進行するにつれて現れる症状の変化です。

●初期段階:
・症状がほとんどない

●中期段階:
・咳
・喀痰や血痰
・胸痛や呼吸困難

●進行後期:
・体重減少
・倦怠感
・声のかすれ
・関節痛や骨痛
・胸膜や心臓への影響
・顔や首のむくみ

また、肺腺がんが進行し、他の臓器への転移が起こると、転移先の臓器に関連した症状が現れます。脳への転移では頭痛やめまい、骨への転移では骨痛、肝臓への転移では黄疸や消化不良が起こります。
早期発見と早期治療が肺腺がんの予後改善に繋がるため、自覚症状の変化に気を付けることが重要です。

 

肺腺がんの呼吸器症状と痛み

肺腺がんの呼吸器症状には、持続的な咳、喀痰や血痰、呼吸困難があります。これらの症状は、がん細胞が気管支や肺組織に影響を与え、正常な呼吸機能を阻害するために発生します。
また、肺腺がんの進行に伴って痛みが発生することがあります。痛みの原因は、腫瘍が周囲の神経や骨に圧迫を与えた場合や肺腺がんがリンパ節や他の臓器に転移している場合です。
早期段階では症状があまり現れないことが一般的ですが、病気の進行により症状が現れることがあります。そのため、症状が現れた場合は早期受診が重要です。

 

血液検査などで判明する症状

血液検査は、肺腺がんの診断において役立つ検査の一つです。血液検査を通じて、腫瘍マーカーと呼ばれるがん細胞に関連する物質の増加が確認できる場合があります。ただし、血液検査だけでは診断が確定できず、他の検査方法と組み合わせる必要があります。
また、全身の状態や他の臓器への転移の有無を調べる血液検査も行われます。これらの検査により、肺腺がんの診断や治療の選択肢をより適切に選択できます。
肺腺がんの症状には、全身倦怠感や体重減少などがあります。これらの症状は血液検査や他の検査方法により確認されることがあります。
血液検査以外の検査方法には、胸部レントゲンやCT検査があります。これらの検査によって、肺腺がんの存在やその進行状況を詳しく調べることができます。

3.肺腺がんの診断方法

肺腺がんの診断には、まず症状の確認や身体検査が行われます。次に、画像診断として胸部レントゲンやCT検査が行われ、腫瘍の位置や大きさ、リンパ節への転移の有無などが調べられます。
その後、組織病理学的診断が必要です。これは、細胞の採取や生検を行い、肺腺がんの確定診断を下すための検査です。細胞採取方法には、喀痰検査や気管支鏡検査、針生検などがあります。これらの方法で採取した細胞や組織を顕微鏡で観察し、肺腺がんであるかどうかを判断します。
さらに、遺伝子検査を行うことで、肺腺がんの特徴や遺伝子変異を調べることができます。これにより、個々の患者に適切な治療法を選択することが可能になります。
最後に、肺腺がんのステージ分類が行われます。これは、がんの進行状況を把握し、治療方針を決定するための重要な情報です。ステージ分類には、腫瘍の大きさ、リンパ節への転移の有無、他の臓器への転移の有無が考慮されます。
これらの診断方法を総合的に行うことで、肺腺がんの正確な診断が可能となります。診断を受ける際には、専門の医療機関で適切な検査と治療が受けられるよう、注意が必要です。

CT検査、胸部X線などの画像診断

CT検査や胸部X線は、症状が現れる前の早期発見や肺がんの進行具合を把握するために行われる画像診断です。
CT検査は、高い解像度の画像で、肺組織の異常を詳細に捉えることができます。これにより、腫瘍の位置や大きさ、周囲の組織やリンパ節への転移の有無を判断できます。
また、胸部X線検査は、病変や腫瘍の大きさや位置がったり、胸膜や肺の構造に異常があるかどうかを調べます。
これらの画像診断は、診断の確度を高めるために、他の検査方法と組み合わせて行われます。例えば、腫瘍マーカーの検査や血液検査、肺機能検査などが該当します。
最近では、より精密な画像診断のために、MRI検査やPET-CT検査も行われることが増えています。
ただし、これらの画像診断だけでは、肺がんの確定診断には至りません。確定診断のためには、生検や病理検査が必要となります。

 

肺機能検査と遺伝子検査

肺機能検査は、肺がん患者の呼吸機能を評価するために行われる検査であり、手術や治療の適応を判断する際に重要な役割を果たします。
一方、遺伝子検査は、肺がんの治療の選択肢を広げるために行われます。特定の遺伝子変異がある場合、分子

 

生検と病理検査による確定診断

生検と病理検査は、肺がんの確定診断に欠かせない手法であり、疑わしい部位から細胞や組織を採取し、顕微鏡下で検査を行います。
生検は、気管支鏡検査や穿刺生検、開胸手術などの方法で行われます。採取された組織は、病理検査でがん細胞の有無や種類を特定し、ステージングや治療法の選択に役立てます。
病理検査では、腺がん、扁平上皮がん、その他の肺癌をはじめ、多様な肺がんの分類が行われ、治療方針が決定されます。

4.肺腺がんの治療方法と予防策

肺腺がんの治療方法としては、手術、放射線療法、薬物療法がありますが、患者の状態やがんの進行度によって適切な方法が選択されます。また、予防策としては、喫煙をやめることや、定期的な検診で早期発見することが重要です。
具体的な治療方法については、ステージや患者の全身状態、がん細胞の種類や遺伝子異常の有無によって決定されます。早期発見された場合は、外科手術で腫瘍を取り除くことが一般的です。しかし、転移や再発のリスクを考慮し、必要に応じて放射線療法や薬物療法と併用されることがあります。
予防策には、まず喫煙を止めることが最も効果的です。喫煙は肺がんの主要な原因であり、肺腺がんの発生リスクを大幅に減らします。また、定期的な健康診断やCT検査で早期発見が可能です。さらに、健康的な食事や適度な運動、ストレスのコントロールも予防策に役立ちます。

手術、放射線療法、薬物療法の選択

手術は肺腺がんの初期治療の選択肢であり、腫瘍を根治的に除去することが目的です。
しかし、病状や患者の体力、肺機能によっては手術が困難な場合もあります。その際は、放射線療法が検討されます。
放射線療法は、がん細胞を破壊する高エネルギーの放射線を照射し、腫瘍の縮小や増殖の抑制を図ります。
一方、薬物療法は、抗がん剤や分子標的薬などの薬剤を用いて、がん細胞の成長や転移を抑制します。
治療方法の選択は、医師や専門機関が患者の状態やがんの進行度に応じて判断します。組織型や遺伝子変異の検査結果から、最適な治療薬を選択することが可能です。また、治療過程で効果が不十分な場合や副作用が強い場合は、治療方法の見直しが行われることがあります。
肺腺がんの治療には、専門機関や医療チームと密接な連携が不可欠です。患者は病状や治療法について十分な情報を得ることが重要であり、適切なサポートや心理的ケアも求められます。

 

肺腺がんの予防法と生活習慣改善

肺腺がんの予防法として、まず喫煙を避けることが重要です。喫煙は、肺がんリスクを高める主要な原因であり、禁煙は肺腺がんだけでなく、さまざまな疾患の予防にもつながります。
また、健康的な食生活と適度な運動も大切です。野菜や果物を毎日摂取することで、抗酸化作用が期待できます。運動は肺機能を向上させ、喫煙による肺障害のリスクを軽減させます。
空気中の有害物質や粉じんの吸入も、肺腺がんのリスクを上げることが知られているため、清潔で換気の良い環境での生活が望まれます。
さらに、定期的な健康診断やCT検査も肺腺がんの早期発見に役立ちます。早期発見によって、治療効果の向上や予後の改善が期待されます。
肺腺がんの予防策として、以下の生活習慣改善が推奨されています。

・禁煙
・健康的な食生活
・適度な運動
・空気清浄機の使用や換気の良い環境での生活
・定期的な健康診断

5.まとめ

肺腺がんは、全身転移のリスクが高い疾患であり、早期診断と治療が重要です。予防法として、喫煙の禁止や健康的な生活習慣の維持が求められます。
近年の研究により、遺伝子異常や腫瘍細胞の特徴を特定することで、個別化された治療法の開発が進んでいます。今後も研究が進めば、より効果的な治療法や予防法が期待されます。
より多くの人が肺腺がんに関する正しい知識を持ち、適切なアプローチが広まることが重要です。
さらに詳しい情報が必要な場合は、医療機関へ相談し、専門家の意見を得ることが大切です。健康的な生活を送り、肺腺がんの予防に努めましょう。

快適医療ネットワーク理事長

監修 
医学博士 上羽 毅

金沢医科大学卒業後、京都府立医科大学で研究医として中枢神経薬理学と消化器内科学を研究。特に消化器内科学では消化器系癌の早期発見に最も重要な内視鏡を用いた研究(臨床)を専攻。その後、済生会京都府病院の内科医長を経て、1995年に医院を開業。
統合医療に関する幅広し知識と経験を活かして、がんと闘う皆様のお手伝いが出来ればと、当法人で「がん患者様の電話相談」を行っております。