• 2024.10.15
  • 肺がん

肺がんのリスクを徹底解明!予防法と最新治療のすべて

肺がんは、世界的に発生件数が多く、患者数も増加傾向にある病気です。本コラムでは肺がんの原因やリスク要因について徹底解説し、予防法や最新治療法について詳しく説明します。
解説する内容は以下の通りです。
・喫煙がもたらす肺がんリスク
・受動喫煙の影響
・女性特有の肺がんリスク要因
・遺伝や遺伝子変異による肺がん発症リスク
・空気汚染や職業性のリスク要因
そして、最新の治療法や予防法に関する情報も取り上げます。
このコラムを読むことで、肺がんの原因やリスク要因についての理解が深まり、予防や治療に役立てることができるでしょう。

1.肺がんの原因とリスク要因

肺がんは、肺の細胞が異常に増殖し、腫瘍を形成する病気です。症状が現れる前に進行することが多く、早期発見が重要とされています。肺がんの原因とリスク要因について詳しく見ていきましょう。
まず、肺がんの最も一般的な原因は喫煙です。喫煙は肺がんの発生率を高めると共に、喫煙者以外にも影響し、受動喫煙による肺がんリスクも高まります。
また、アスベストや大気汚染、化学物質の長期的な曝露も肺がんのリスクを高める要因となります。
肺がんは、大きく分けて小細胞肺がんと非小細胞肺がんの2種類があり、それぞれ異なる治療法が必要です。遺伝子検査や放射線検査などの検査方法が進化し、診断や治療がより正確に、効率的に行われています。
肺がんの予防には、喫煙をやめることが最も効果的です。また、健康的な生活習慣を心がけ、大気汚染や化学物質に触れる機会を減らすことも重要です。
さらに、定期的な健診や検診を受けることで、早期発見が可能になり、治療の成功率が向上します。

喫煙がもたらす肺がんリスク

喫煙は肺がんの最大のリスク要因であり、たばこの煙に含まれる多くの有害物質が肺に蓄積し、細胞の遺伝子に損傷を与えることが明らかにされています。この結果、細胞が制御不可能な速度で増殖し、肺がんが発生するリスクが高まります。
研究によると、喫煙者は非喫煙者に比べて肺がんのリスクが15~30倍も高くなると言われています。また、喫煙期間や本数が多いほどリスクが高まることが確認されており、喫煙をやめることでリスクが大幅に減少します。
喫煙から肺がんへ至る過程では、呼吸器系や免疫系の機能低下が起こり、他の疾患や感染症にもかかりやすくなります。
喫煙の危険性を十分に理解し、禁煙や減煙を行うことが、肺がん予防において極めて重要です。

 

受動喫煙の影響

受動喫煙も肺がんのリスクを高める要因です。喫煙者の周りでたばこの煙を吸い込む非喫煙者は、無意識に肺がんのリスクにさらされていることになります。
実際、受動喫煙が原因で肺がんを発症する患者は少なくなく、研究では非喫煙者が喫煙者の煙に暴露されると、肺がんリスクが20~30%も増加することが示されています。
受動喫煙は、子供や妊娠中の女性にとって特に危険であり、喘息や肺炎、低体重出生などの合併症のリスクも高まります。
受動喫煙を避けることは、自分だけでなく周囲の人の健康を守るためにも重要です。

 

女性特有の肺がんリスク要因

女性における肺がんのリスク要因は、男性とは異なる特徴があります。
喫煙はもちろんリスク要因ですが、女性ホルモンのエストロゲンも関与している研究結果が報告されています。エストロゲンは、肺がん細胞の増殖を促進する役割があります。
また、女性がん患者の中では、非喫煙者の肺がん発症率が高いとされており、これは女性特有の遺伝的要因やホルモンの影響が考えられます。
さらに、女性の場合、受動喫煙も大きなリスク要因となります。特に家族や職場での喫煙者がいる場合、無意識に受動喫煙を繰り返し、肺がんのリスクが高まる可能性があります。
予防策として、喫煙を避ける、受動喫煙を少なくする、健康的な生活習慣を心がけるなどが挙げられます。

 

遺伝や遺伝子変異による肺がん発症リスク

肺がんの発症リスクには、遺伝や遺伝子変異が大きく関係しています。家族に肺がん患者がいる場合、遺伝的な要因が関与するリスクが高まります。
また、遺伝子変異により、がん細胞の増殖や転移が促進されることがあります。
近年の研究により、特定の遺伝子変異が肺がんの発症リスクを高めることが明らかになりました。例えば、EGFR遺伝子変異は、非喫煙者や女性に多く、ターゲット治療薬が有効な場合があります。また、ALK変異やROS1変異も同様に肺がんのリスクを高める遺伝子変異です。
遺伝子検査を受けることで、遺伝子変異の有無や種類を特定し、適切な治療や予防策を講じることが可能です。

 

空気汚染や職業性のリスク要因

空気汚染は、肺がんのリスク要因の一つです。大気汚染物質や微小粒子が肺に入り込むことで、がんを引き起こす可能性があります。
特に、大都市や交通量の多い地域に住む人は、リスクが高まることが報告されています。
職業性のリスク要因として、アスベストが有名です。アスベストは、肺がんや中皮腫の原因となることが明らかになっており、現在は使用が制限されています。しかし、過去にアスベストに曝露していた人は、引き続きリスクが高まります。
その他、化学物質や金属粉塵にさらされる職業も、肺がんのリスク要因となることが知られています。労働環境の改善や適切な保護具の使用が重要です。

2.肺がんの症状・診断・治療法について

肺がんの症状は、咳や喀血、息切れ、胸痛などが挙げられます。しかし、初期症状は非常にわかりにくく、進行してから症状が現れることが多いです。定期的な健康診断やCT検診が早期発見に役立ちます。
肺がんの診断は、画像検査や気管支鏡検査、組織検査などが行われます。治療法は、がんのステージや種類、患者の状態によって異なります。手術、放射線治療、抗がん剤治療、分子標的治療、免疫治療などの選択肢があり、個々の患者に最適な治療法が選ばれます。
肺がんの治療は、早期発見が大切です。定期検診や自己チェックを行い、異常があればすぐに専門医に相談しましょう。

早期発見が重要な肺がんの症状

肺がんは、早期発見が治療成功の鍵となります。早期の症状は目立たないことが多く、患者自身が気付かないこともあります。
肺がんの初期症状として、咳や痰の色の変化、血痰、息切れ、胸痛が挙げられますが、これらは他の病気とも重なるため、注意が必要です。
また、リンパ節腫大や骨への転移が起きると、全身倦怠感や体重減少、骨痛といった症状が現れます。
早期発見のため、定期的な健康診断や喫煙者などリスクの高い人は特にCT検査を受けることが重要です。

 

肺がん検査方法の進化と効果

近年、肺がんの検査方法は進化し、より早期発見や診断の精度が向上しています。従来のレントゲン検査から、より詳細な情報が得られるCT検査へと変化し、早期の肺がん発見に貢献しています。
また、気管支鏡検査では、気管支内の腫瘍の有無や、腫瘍組織の採取が可能です。
さらに遺伝子検査の普及により、個々の患者に合った治療方法が提案されるようになりました。これらの進化により、肺がん患者の治療効果が向上しています。

 

最新の肺がん治療法とその効果

最新の肺がん治療法として、免疫療法、分子標的療法、新しい放射線療法などが開発されています。
免疫療法では、患者自身の免疫力を高め、がん細胞を攻撃することで効果を発揮します。分子標的療法は、がん細胞に特有の遺伝子変異を標的に、効率的に治療する方法です。放射線療法では、新技術により照射部位の精度が向上し、より効果的で副作用の少ない治療が可能となっています。
これらの最新治療法は、従来の手術や放射線治療と併用されることで、より効果的な治療が実現されています。

 

手術と放射線治療の相乗効果

肺がん治療において、手術と放射線治療を組み合わせることにより、相乗効果が期待できます。
手術は腫瘍を直接切除する方法であり、早期の肺がんには特に効果があります。しかし、残存腫瘍や転移リスクがあるため、放射線治療と併用することで、より効果的な治療が可能となります。
放射線治療は、手術が困難な患者や、手術後の再発や転移を抑制するために使用されます。
両者を組み合わせることで、治療効果の向上が期待できるとともに、患者の生活の質も改善されます。

 

分子標的療法と免疫療法の進化

肺がん治療の分野では、分子標的療法と免疫療法が近年急速に進化しています。
分子標的療法は、がん細胞の遺伝子や蛋白質の異常を特定し、その異常部分を攻撃する薬剤を用いた治療方法です。遺伝子変異や蛋白質の発見が進むことで、効果的な治療薬の開発が進み、患者の治療効果が向上しています。
また、免疫療法は、がん細胞と闘うために自身の免疫力を利用して治療を行います。従来の方法では治療困難な進行がんに対しても、免疫療法の効果が認められ、これまでの治療法では対応できなかった患者に対する希望となっています。
肺がん治療における分子標的療法と免疫療法の進化は、今後も患者の生存率向上につながることが期待されます。

3.肺がん予防を目指す生活習慣と食事

肺がん予防のために実践したい生活習慣と食事について説明します。
まず、喫煙は肺がんの最大のリスク因子ですので、禁煙が肺がん予防において最も重要です。
次に、食事に関しては、抗酸化作用のあるビタミンC、ビタミンE、β-カロテンを含む野菜や果物を多く摂取することが肺がん予防に効果的です。また、魚介類などの良質なたんぱく質や、オメガ3脂肪酸などの健康的な脂質を摂取することも重要です。
さらに、適度な運動を継続することで肺機能を維持し、肺がんのリスクを低減することができます。定期的なウォーキングや筋力トレーニングを取り入れることが効果的です。
加えて、十分な睡眠やストレスの軽減も肺がん予防に役立ちます。総合的に健康的な生活習慣を心掛けることで、肺がんリスクを低下させることが可能です。

喫煙禁止で得られる肺がん予防効果

喫煙は肺がんの原因の80%以上を占める最大のリスクであり、禁煙は肺がん予防に最も有効な方法です。禁煙によって得られる肺がん予防効果は、喫煙期間や喫煙量に応じて異なりますが、喫煙をやめることで、肺がん発生リスクが徐々に低下します。
禁煙したことで肺がんリスクが低減されるだけでなく、心臓病や脳卒中、他の呼吸器疾患などのリスクも低下させることができます。
禁煙は全身の健康への効果があり、長期的な健康寿命の向上につながるため、喫煙者にとっては喫煙禁止が最も重要な予防策となります。

 

ストレス軽減がもたらす肺がん予防

ストレス軽減は肺がん予防にも寄与します。ストレスが増加すると、免疫機能が低下し、がん細胞の増殖を抑制する力が弱まります。
ストレス軽減を実践するために、適度な運動や趣味、リラックスできる環境を整えることが重要です。また、仕事や家庭での人間関係の改善や、メンタルヘルスケアもストレスを抑えるために役立ちます。
ストレス軽減に努めることで、自身の免疫力を高め、肺がん予防に効果的な生活を送ることができます。

 

毎日の食事で肺がんリスクを減らす

野菜や大豆食品を積極的に取り入れることで、肺がんのリスクを減らすことができます。
野菜にはビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれており、抗酸化作用や免疫機能の向上に役立ちます。これらの成分は喫煙や大気汚染などの影響を受ける肺細胞の健康を保ち、肺がんの発生を抑制することが期待されます。
また、大豆食品はイソフラボンやたんぱく質などの栄養素が豊富で、抗酸化作用を持ち、がん細胞の増殖を抑える効果があります。
このような食材を意識して摂取することで、肺がんの予防に繋がります。
肺がん予防に効果的な野菜や大豆食品の例は、以下の通りです。

・トマト
・ブロッコリー
・ケール
・人参
・大豆製品(豆腐、納豆、豆乳など)

普段の食事にこれらの食材を意識的に取り入れることで、肺がんリスクを減らすことができます。

 

適度な運動と睡眠

適度な運動は肺の機能を向上させ、呼吸機能が正常に働くことで肺がんのリスクを抑えることができます。
また、適度な運動はリンパ液の流れを改善し、免疫機能が高まることで、肺がん細胞の抑制にも繋がります。
睡眠も免疫機能の維持に重要であり、質の良い睡眠を確保することで肺がんの予防に効果があります。不足すると免疫力が低下し、がん細胞が増殖しやすくなるため、適度な運動と共に睡眠環境を整えることが大切です。

4.まとめ

肺がんの原因として、喫煙や大気汚染、家族歴などがあります。そのため、喫煙をやめることや生活環境を改善することが予防策として重要です。
また、野菜や大豆食品を摂取し、適度な運動と睡眠を心がけることで、肺がんのリスクを減らすことができます。
今後は定期的な検診やCT検査を受けることで早期発見・早期治療が可能となり、肺がんから身を守ることができます。
最後に、気になる症状があれば、医療機関を受診することをおすすめします。

快適医療ネットワーク理事長

監修 
医学博士 上羽 毅

金沢医科大学卒業後、京都府立医科大学で研究医として中枢神経薬理学と消化器内科学を研究。特に消化器内科学では消化器系癌の早期発見に最も重要な内視鏡を用いた研究(臨床)を専攻。その後、済生会京都府病院の内科医長を経て、1995年に医院を開業。
統合医療に関する幅広し知識と経験を活かして、がんと闘う皆様のお手伝いが出来ればと、当法人で「がん患者様の電話相談」を行っております。