• 2024.02.05
  • 膵臓がん

膵臓がん早期発見!血液検査で闘病をサポート

膵臓がんは沈黙のキラーとも呼ばれ、発見が遅れることが多い病気です。しかし、血液検査によって、早期発見が可能になることで、治療の選択肢が広がり、闘病をサポートできます。ここでは、膵臓がん血液検査の重要性を解説し、検査で特定されるマーカーの役割や診断のための各種検査法についても説明します。膵臓がんを早期に発見し、適切な治療を受けることで、患者の生活の質が向上し、家族も安心できることが期待できます。

 

1. 膵臓がん血液検査の重要性

膵臓がんは早期発見が難しく、治療成功率が低い病気として知られています。そのため、早期診断が重要であり、膵臓がん血液検査は強力なツールとなります。

血液検査で膵臓がん特有のタンパク質やマーカーが検出されることがあり、診断の手がかりとなります。 血液検査は侵襲性が少なく、患者に負担がかからず、日常的な健康診断に組み込むことが可能です。また、血液検査を他の画像診断法と組み合わせることで、診断の正確性を高めることができます。

 - 膵臓がんのリスクが高い人や家族歴がある場合、定期的な血液検査が推奨されます。

 -  膵臓がん血液検査は、早期発見のチャンスを与えるだけでなく、治療方針を決定する際の重要な情報を提供します。

沈黙の膵臓がんを早期発見する方法

膵臓がんは症状がほとんど現れないため、沈黙のがんとも言われています。早期発見が難しいですが、以下の検査方法を活用することで早期発見の可能性が高まります。

 - 血液検査:膵臓がん特有のマーカーやタンパク質を検出し、病気の兆候を見つけます。

 - 画像診断:腹部のCTスキャンやMRI検査を行い、膵臓の病変や腫瘍を検出します。

 - 内視鏡超音波検査(EUS):内視鏡と高周波音波を使って、膵臓の異常を検出します。

 - 膵管造影(MRCP):MRIを利用して膵管や胆管の状態を調べます。

膵臓がんの早期発見は治療成績を大幅に向上させます。定期的な健康診断や適切な検査を受けることで、沈黙の膵臓がんに立ち向かうことができます。

 

検査で特定される膵臓がんのマーカー

膵臓がん診断で主要な血液マーカーは、CA19-9とCEAです。CA19-9は、膵臓がん患者の約80%で上昇し、進行度や治療効果の評価に有用です。

しかし、慢性膵炎や胆道閉塞症の患者でも上昇することがあり、他の検査と組み合わせて診断に役立てられます。 CEAは、大腸がんや胃がん患者で上昇することがあるため、膵臓がん特異的なマーカーではありませんが、CA19-9と併せて用いることで診断精度を高めることができます。

その他のマーカーとして、アミラーゼや膵炎関連タンパク質(PRSS1)も研究対象です。膵臓がん患者でアミラーゼが上昇することがありますが、急性膵炎や胆石症でも上昇するため、診断には他のマーカーと組み合わせる必要があります。最近の研究から、新たなマーカーやバイオマーカーの開発が進み、今後の膵臓がん診断の進展が期待されています。

 

2. 膵臓がん診断のための各種検査法

膵臓がんの診断には、様々な検査法が用いられます。その中でも主要なものとして、CT検査、MRI検査、EUS検査が挙げられます。これらの検査により、腫瘍の位置や大きさ、膵管との関係など、がんの進行状況や治療適応を判断する上で重要な情報が得られます。また、血液検査により、膵臓がんマーカーのCA19-9やCEAの数値を調べることも可能です。各検査法にはそれぞれ特徴と利点があり、医師が症状や状態に応じて選択します。

CT検査で腫瘍の位置と大きさを把握

CT検査は、膵臓がんの画像診断において重要な方法です。高速回転するX線源と検出器で、患者の腹部を薄いスライス状に撮影し、病変の位置や大きさを正確に把握できます。また、造影剤を用いることで血管の状態や腫瘍の進行度も評価可能となります。ただし、細かい腫瘍や転移を見逃す可能性もあるため、他の検査法と併用することが望ましいです。

 

MRI検査でリアルタイムでがん組織の観察

MRI検査は、強力な磁場とラジオ波を利用して、膵臓の内部構造を詳細に観察することができる検査です。膵臓がんの早期発見に有効であり、リアルタイムでがん組織や転移の観察が可能です。さらに、MRCP(磁気共鳴胆・膵管造影)を行うことで、膵管や胆管の状態も評価することができます。ただし、MRI検査はCT検査に比べて時間がかかり、体内に金属がある場合は受けられません。

 

EUS検査で膵管と腫瘍の関係を確認

EUS検査は、超音波内視鏡を使用して膵臓と腫瘍の関係を確認できる検査法です。内視鏡を十二指腸まで挿入し、高周波数の音波を当てることで、膵臓の細かい構造や膵管の状態を詳細に観察することができます。また、EUSでは生検を同時に行うことが可能であり、腫瘍組織の組織診断も行えます。このように、EUS検査は膵臓がんの診断に非常に有用な方法とされています。

 

腹部血管造影検査で膵臓周辺の血管状態を調べる

腹部血管造影検査は、膵臓やその周辺の血管の状態を詳しく調べる医療画像検査となります。膵臓は消化器系の重要な臓器であり、膵炎や膵臓がんなどの疾患が発生するリスクがあります。腹部血管造影検査は、これらの病変を早期に発見し、適切な対応ができるようにするために行われます。

まず、造影剤を血管に注入し、X線撮影を行います。これによって、膵臓周辺の血管の状態や、病変の有無が視覚化されます。膵臓がんの場合、腫瘍が血管に浸潤していることがあり、特定の血管が圧迫されたり閉塞していることが確認できます。

また、慢性膵炎の患者では、膵管の狭窄や拡張、その他の異常が検出されることがあります。これらの情報は、診断や治療計画の立案に非常に重要となります。腹部血管造影検査は、病気の進行状況を把握し、患者に最適な治療法を提案する上で欠かせない検査です。

3.膵臓がん治療の選択肢

膵臓がんの治療方法は、がんの進行度や患者の状態により異なります。一般的に、以下の治療法が選択肢として挙げられます。

 - 手術

 - 放射線治療

 - 化学療法

 - 分子標的治療

手術は、がんが他の臓器に転移していない早期の段階であれば、根治を目指すことが可能です。放射線治療は、がん細胞を破壊するために高エネルギーの放射線を照射します。これにより、腫瘍の縮小や症状の軽減が期待できます。化学療法は、抗がん剤を用いてがん細胞の増殖を抑制し、腫瘍の成長を遅らせます。分子標的治療は、特定の遺伝子や分子の働きを阻害し、がん細胞の増殖や転移を抑えることを目的としています。

治療法は、医師と患者が話し合い、患者の状態や希望に応じた最適な選択肢を決定します。

手術による治療の適用条件と方法

膵臓がんの手術適用条件は、主に以下のようなことが挙げられます。

 - がんが他の臓器への転移がない

 - 腫瘍が周囲の重要な血管や神経に浸潤していない

 - 患者の一般的な健康状態が良好で手術が許容される

早期の膵臓がんは、膵頭十二指腸切除術や膵尾切除術のような開腹手術が適用されます。これらの手術では、がんが存在する膵臓の部分と周囲の組織を切除します。さらに、リンパ節の摘出や腹腔内の検査も行われ、がんの進行状況を把握します。

ただし、手術にはリスクが伴うため、医師は患者の状態や合併症のリスクを十分に考慮し、手術可能かどうかを判断します。

また、手術後のケアが重要であり、栄養管理やリハビリテーションが不可欠となります。膵臓がん治療では、適切な手術適用条件と方法を選択し、患者の回復をサポートすることが求められます。

 

放射線治療と薬物治療の役割と効果

放射線治療は、がん細胞を破壊する目的で放射線を照射する方法で、特に大腸がんや胃がんなどの進行がん患者に効果的です。放射線は細胞のDNAを損傷して細胞分裂を阻止し、腫瘍の成長を抑え、症状の緩和が期待できます。

一方で、薬物治療は投薬によりがん細胞の増殖を抑制する手法で、化学療法や分子標的薬が代表的です。これらは、細胞の成長や転移を防ぐために、特定の薬剤が患者の血液を通じて全身に広がり、作用します。

放射線治療と薬物治療は異なる効果を持ち、状態や病期に応じて適切な治療が選ばれます。放射線治療は局所的ながん細胞の破壊に焦点が当てられているのに対し、薬物治療では全身的なアプローチが可能なことが特徴と言えます。これらの治療法は、医療専門家により病状や患者のニーズに応じて組み合わせることもあります。

4.膵臓がんの予防と日常生活

膵臓がんの予防に効果的な日常生活のポイントは、以下の通りです。

 - 健康的な食生活:高脂肪・高カロリー食を避け、野菜や果物、全粒穀物を摂取しましょう。

 - 肥満の回避:体重管理を行い、BMIが適切な範囲に保ちましょう。

 - 定期的な運動:週に150分以上の中程度の運動や75分以上の激しい運動を行いましょう。

 - 禁煙・適度なアルコール摂取:喫煙は膵臓がんリスクを高めるため禁煙が推奨されます。また、アルコールは適度な摂取に留めましょう。

これらの生活習慣の改善により、膵臓がん発症リスクを低減させることが期待されます。

リスク軽減のための生活習慣改善

膵臓がん以外の疾患の発症リスクも減らす生活習慣改善は、以下のような具体的な方法が挙げられます。

 - 睡眠の質と量の確保: 1日に7~8時間の質の高い睡眠をとりましょう。

 - ストレスの軽減: ヨガや瞑想、趣味を楽しんで精神的ストレスを緩和させます。

 - 規則正しい生活リズム: 朝型の生活パターンを維持し、食事や睡眠のリズムを整えましょう。

これらの生活習慣改善は、病気の予防やリスク軽減だけでなく、健康で長寿な人生を送るための基盤となります。

 

定期的な検診で早期発見を目指す

定期的な検診は、膵臓がんの早期発見に欠かせない要素です。膵臓がんは症状が明確でなく、進行が早いため、診断が難しい病気のひとつです。そのため、早期診断が治療成績に大きく影響します。

定期検診で行われる血液検査では、マーカーの異常値を確認し、さらに画像診断(CTやMRI, EUS)で膵臓の状態を詳しく調べることが可能です。これにより、がんの初期症状を発見し、早期治療に繋げることができます。 具体的な検査方法は以下の通りです。

 - 膵臓がんマーカーであるCA19-9やCEAを測定する

 - 血管造影検査や消化器内視鏡検査を併用して、異常があるかどうかを判断する

定期的な検診を受けることで、膵臓がんの早期発見が可能となり、より良い治療結果につながります。これを機に、健康管理に気を付けましょう。

5.膵臓がん患者の家族へのサポート

膵臓がん患者の家族へのサポートは、重要な役割を担います。家族は、患者の病状や治療プロセスを理解し、適切なケアを提供できるようにならなければならないのです。また、家族間のコミュニケーションを強化し、精神的なサポートの提供も大切です。 具体的なサポート方法としては以下のようなものが挙げられます。

 - 患者の病状説明と治療プランの共有

 - 精神的な支援とアドバイス

 - 家族向けの情報提供や教育プログラム

 - 外部の支援団体への紹介

これらのサポートを通じて、家族は患者に寄り添いながら適切なケアを提供し、患者のQOL(生活の質)の向上に寄与できることが期待されます。

センターで提供される情報やサービス

膵臓がん治療や予防に関する情報やサービスを、専門のセンターで提供しています。これらのセンターでは、最新の研究成果や治療法と共に、専門家によるカウンセリングやセミナーが実施されます。具体的なサービスは以下の通りです。

 - 最新の研究成果と治療情報の提供

 - 患者や家族向けのカウンセリング

 - 予防や早期発見に関するセミナー

 - 患者同士の交流イベント

 - 外部の専門家や支援団体への紹介

これらの情報やサービスを利用することで、患者や家族は病気や治療に関する知識を深め、適切なケアやサポートができるようになります。

6.膵臓がん血液検査で未来を切り拓く

膵臓がんは早期発見が困難な病気ですが、定期検診や血液検査によって早期発見が可能となり、治療成績が向上します。家族へのサポートやセンターで提供される情報・サービスも、患者や家族のQOL向上に役立ちます。 未来を切り開くために、自分や家族の健康を守るために、膵臓がん検査や定期検診の重要性を理解し、適切なケアやサポートを提供しましょう。最後に、専門のセンターや病院での検診を検討してみることをお勧めします。

快適医療ネットワーク理事長

監修 
医学博士 上羽 毅

金沢医科大学卒業後、京都府立医科大学で研究医として中枢神経薬理学と消化器内科学を研究。特に消化器内科学では消化器系癌の早期発見に最も重要な内視鏡を用いた研究(臨床)を専攻。その後、済生会京都府病院の内科医長を経て、1995年に医院を開業。
統合医療に関する幅広し知識と経験を活かして、がんと闘う皆様のお手伝いが出来ればと、当法人で「がん患者様の電話相談」を行っております。