• 2025.11.21
  • 膵臓がん

膵臓がんの衝撃事実!余命から生活改善まで徹底解説

膵臓がんは、残念ながら他のがんと比べると予後(病気の経過や見通し)が厳しいケースが少なくないとされています。そのため、この病名を知った際に、患者さんご自身やご家族が「余命」や今後の生活について大きな不安を感じるのは当然のことです。
特に、膵臓は体の深い周囲にある臓器であり、その性質上、病状や治療法について理解しにくいと感じる方も多いかもしれません。

しかし、現代の医療技術は日々進歩を遂げており、膵臓がんの診断から治療に至るまで、さまざまな側面で新たな対応が可能になっています。不安な気持ちを抱えながらも、ご自分や大切なご家族の病気と向き合い正確な情報を得ることは、治療の流れを理解して前向きな生活を送るための重要な第一歩となります。

このコラムでは、皆様が抱える多くの疑問にお答えできるよう、以下のテーマを中心に詳しく解説します。

まず、膵臓がんの病気の広がりや進行度(ステージ)によって大きく異なる余命や生存率に関する最新の統計的情報を提供します。また、早期発見が予後を大きく左右する理由、膵がんの原因となりうるリスク因子、そして生活習慣の改善を通じた予防策についても触れます。

次に、治療についてです。膵がんの部位(頭部など)による症状や治療の違いを明確にし、現在標準とされている治療法、すなわち手術(術後の注意点を含む)や、抗がん剤治療の最新動向をご紹介します。

この情報が、膵臓がんに対する皆様の理解を深め、医師との診療や対応について検討する際の具体的な手助けとなり、希望を持って自分らしい生活を維持するための一助となることを心より願っております。

【最新情報】研究を重ねた結果、がんのタイプを選ばず勢いを抑える「膵臓がん克服に必要な成分」を特定しました。

1.膵臓がんの余命と平均生存率

膵臓がんは、医療現場において治療が難しいケースが少なくないとされており、この病名を知った患者さんやご家族にとって大きな心労となります。
確かに、他のがんと比べて予後(病気の経過や見通し)が厳しいと言われることは事実です。
しかしながら、膵臓がんの余命や平均生存率は、がんの進行度(ステージ)や選択される治療方法によって大きく異なるという点に着目することが極めて重要です。膵臓がん1

各ステージ別:膵臓癌の余命と平均生存率

ステージごとの余命と平均生存率は、以下の通り大きく変わることが分かります。

・ステージ1
腫瘍が膵臓内にとどまり、手術が可能な段階です。
5年生存率は約30〜50%と比較的高く、適切な治療を行えば予後がより良くなります。

・ステージ2
腫瘍が膵臓外に広がり、十二指腸や周囲の組織に浸潤し、リンパ節への転移が認められる場合があります。
早期の治療や術後の補助抗がん剤治療によって、5年生存率は約20%となります。

・ステージ3
腫瘍が膵臓周辺の主要な血管に浸潤し、手術による根治が困難になる場合があります。
この状況では手術前に抗がん剤治療や放射線療法を行うなど、さまざまな治療法の併用が検討され、5年生存率は10%程度まで向上することが期待されます。

・ステージ4
遠隔臓器(肝臓、肺、骨など)への転移がある場合です。
5年生存率は1%未満ですが、近年は全身状態に応じた抗がん剤治療や緩和ケアの充実により、症状の緩和や生活の質の向上が図られます。

各ステージにおける治療方針や選択肢は、患者さんの状況、特に高齢者の人では全身の状態を検討し、ご家族と医師との相談の上で決定されることが重要です。
最適な治療法が選択されることで、期待される余命が変わることもあります。

 

早期発見の重要性

膵臓がんは、初期の段階では自覚症状が出にくいことが早期発見を難しくする主要な理由です。
しかし、上記の統計が示すように、ステージ1とステージ4の予後には大きな違いがあり、早期発見が余命や生存率に極めて大きな影響を与えます。
検査や症状に対する注意を促すことで、根治を目指す治療の選択肢が広がり、予後が改善されることが期待されます。
膵臓がんの予防やリスクを減らす要因としては、禁煙やアルコールの摂取量を抑えること、健康的な生活習慣の維持、糖尿病との関連が認められているためインスリン分泌など内分泌への対応、そして定期的な健康診断が効果があると言われています。

 

診断を受けたときは

膵臓がんの診断を受けた場合、患者さんやご家族にとってはショックであり、不安を感じることが多いです。
余命や治療法については、医師と患者さん、そしてご家族との密なコミュニケーションが重要になります。医師から具体的な余命や治療方法について説明を受ける際は、患者さんの状況や治療経過を踏まえて適切に伝えられることが求められます。
ご家族は、患者さんの希望を尊重して診療に積極的に参加し、医師や看護師、クリニックや院内の相談窓口から適切なアドバイスを受けることが大切です。
病状や治療に関する内容を適切に理解し、ご家族や友人とのサポート体制を築くことで、患者さんの心身の負担を軽減することが期待されます。
決して一人で悩まず、医療チームや周囲の人々に気軽に相談し、希望を持って病気と向き合っていくことが、生活の質を維持する上での重要な要素となります。

膵臓がん症例一覧へ

2.膵臓がんの症状と治療法

膵臓がんは、早期発見が難しく、予後が悪いとされる疾患です。しかし、症状を理解し、治療法を適切に選択することで、より良い結果が得られる可能性があります。今回は、膵臓がんの症状と治療法について解説します。膵臓がん2

主な症状とその特徴

膵臓がんの初期症状は、腹痛、消化不良、体重減少、黄疸(肌や目の白い部分が黄色くなる)などがあります。
黄疸は膵臓がんが胆管を圧迫して発生するため、初期発見のチャンスとなります。
また、膵臓がんは糖尿病の発症が増加することが報告されており、糖尿病と連携して膵臓がんを疑うことも重要です。
症状が出現した場合は、早期に医療機関で診察を受けることが大切です。

 

膵臓がんの治療とは

膵臓がんの治療は、がんの進行度(ステージ)、がんの部位(頭部、部など)、患者さんの全身の状態、そして希望を総合的に検討し、さまざまな種類の治療法の中から最適なものが選択されます。
主な治療法には、手術、放射線療法、そして薬物療法(一般に抗がん剤治療と言われます)があり、これらを単独で用いるケースや、効果を高めるために併用するケースが少なくありません。

1. 手術(外科的治療)
手術は、がんを完全に取り除くことを目指す根治的な治療法であり、特にがんが局所に限られているステージ1やステージ2の患者さんにおいて最も重要です。
手術の目的は、膵臓の機能を可能な限り維持しつつ、がん細胞の広がりを取り除くことです。
しかし、膵臓がんは周囲の主要な血管に浸潤しやすい性質があるため、手術が技術的に困難になる場合があります。

術前・術後の薬物療法: 手術の前後に、再発予防や腫瘍の縮小を目的として抗がん剤治療や放射線療法が併用されることが増えており、特にがんが切除可能か境界線上にあるケースで積極的に検討されます。

2. 薬物療法(抗がん剤治療)
薬物療法は、薬剤を用いて全身のがん細胞の増殖を抑えることで、病状の進行を遅らせ、症状の緩和や期間の延長を目指します。
再発・転移がある場合や、手術が困難な全身に広がりのある状況で標準的な対応となります。
近年では、ゲムシタビンとナブパクリタキセルの併用やFOLFIRINOXなど、複数の種類の薬剤を併用することで、単独投与よりも高い効果が認められています。
これらの治療法は、腫瘍を縮小させ、手術が不可能と言われたケースで切除可能な状況へ導く理由となることもあります。

3. 放射線療法
放射線治療は、高エネルギーの放射線を局所に集中させることで、がん細胞のDNAを損傷させ、腫瘍を制御する方法です。
手術が困難な場合や、がんが周囲の組織に浸潤している状況、あるいは骨などに転移し痛みを伴う症状の緩和を目的として適用されます。

これらの治療法は、患者さんの状況に応じて単独または併用され、最適な治療の流れが検討されます。

 

患者と家族へのケア

膵臓がん患者と家族に対するケアは、緩和医療と相談サポートが重要です。
緩和医療は、進行がん患者の症状を緩和し、生活の質を向上させることを目的とした医療であり、痛みや消化不良などの症状を和らげます。
さらに、家族や患者の精神的なサポートも含まれます。相談サポートは、治療に関する情報提供や心のケア、家族とのコミュニケーションの円滑化に助けとなります。
現在、多くの病院には専門の医師や看護師による相談サポートが整備されています。

【最新】膵臓がん患者様の克服症例を公開いたします。

3.膵臓がんのリスク因子

膵臓がんのリスク因子には、喫煙や肥満、糖尿病、遺伝などが挙げられます。予防策としては、以下が考えられます。

・禁煙
・適切な体重管理
・良好な食生活と運動習慣の継続
・早期の糖尿病対策
 ・診断や治療の際の遺伝的要素のチェック

これらの予防策を積極的に取り組むことで、膵臓がんの発症予防と進行抑制が期待できると考えられます。
また、日頃の食事や運動に注意することで、リスクが低減されるでしょう。定期的な健康診断や自分の体調と相談し、早期の発見や適切な治療も重要です。膵臓がん3

生活習慣と膵臓がんの関係

生活習慣と膵臓がんの発症リスクには密接な関係があります。
食事では野菜や果物を多く摂取し、油分や砂糖の摂取を控えることが望ましいです。
また、運動は週に3回以上、30分以上の有酸素運動を行うことが膵臓がん予防に効果的です。
健康的な生活習慣により膵臓がんリスクが低減され、体全体の健康状態も向上し、膵臓がん以外の病気予防にも繋がるでしょう。

 

高リスクな病気や遺伝

高リスクな病気や遺伝が、膵臓がんの発生確率を上げることがあります。
糖尿病や慢性膵炎などの長期にわたる病気は、膵臓がんのリスクを高めます。
また、遺伝的要素も関係しており、家族歴がある場合は注意が必要です。これらのリスクを把握し、早期の発見や治療が重要となります。
遺伝的要素については、家族歴を医師に相談し、適切な検査や予防策を行うことが望ましいです。

 

予防策と早期発見の方法

膵臓がんは、初期の段階では自覚症状が出にくいことが、早期発見を難しくする主要な理由の一つです。
病状の進行が比較的速い性質もあるため、予後を大きく改善させる鍵は、適切なタイミングでの早期対応にあると言われています。

1. リスクを減らす生活習慣の検討
膵臓がんの予防には、リスク要因を減らすための生活習慣の維持が重要です。
具体的には、禁煙は最も重要な対応の一つです。また、過度なアルコール摂取を避け、肥満を防止すること、そして適度な運動や健康的な食生活を心掛けることが大切です。
さらに、糖尿病との関連も認められているため、インスリン分泌など内分泌系の状況を含め、全身の健康管理を徹底することが求められます。

2. 定期的な検診と早期発見の方法
膵臓がんの早期発見において最も効果が高いのは、定期的な画像検査と検診です。
がんが全身に広がる前の初期段階で発見できれば、根治を目指した手術が適用できるケースが多く、その後の予後も良好となる理由となります。
検診の種類としては、血液検査の腫瘍マーカーや、腹部エコー(超音波検査)、CT検査、MRI検査などがあり、これらを併用することで膵臓の状況を詳細に診断します。
特に膵臓がんのリスクが高いと言われる人や、家族に膵臓がんの人がいるケースでは、医師と相談の上で定期的な検査を検討することが推奨されます。

3. 早期発見後の治療と希望
早期発見された膵がんは、手術による根治的治療の選択肢が広がります。
万が一、進行が認められた場合でも、放射線療法や抗がん剤治療(化学療法)などのさまざまな治療法を併用することで症状の緩和や延命が図られ、生活の質(QOL)の維持に繋がります。

早期発見の鍵は、ご自身の体のわずかな変化に気づき、周囲の人々や医療機関へ気軽に相談し、適切なタイミングで専門の診療を受けることです。
ご家族や友人との情報共有も、早期対応に向けた大切な一歩となります。

膵臓がん克服者に学ぶ克服の秘訣

4.膵臓がんの最新治療法

膵臓がんの最新治療法と研究動向には、免疫療法や分子標的療法といった新たな治療法の開発があります。これらは、膵臓がんの患者に対して、従来の治療法では困難であった治療効果や副作用の軽減を期待できると考えられています。

免疫療法は、患者自身の免疫力を向上させ、がん細胞を攻撃・消滅させることを目指します。分子標的療法では、がん細胞特有の分子を標的とし、正常な細胞に影響を与えずにがん細胞を攻撃します。

さらに、膵臓がんの病態解明や遺伝子検査の進歩により、個別化された治療戦略や薬物の開発も進んでいます。これらを組み合わせた総合的な治療法の確立が、膵臓がんの予後改善につながると期待されています。

膵臓がん4

先進的な治療技術の進歩

先進的な治療技術の進歩は、膵臓がんの治癒に向けた大きな前進です。
手術技術の向上やロボットアシスト手術の導入により、より安全で効果的な治療が可能となっています。
また、画像診断技術の進化により、腫瘍組織のリアルタイムな評価や治療効果の確認が容易になっています。

 

土台となる基礎研究:膵臓がんの新たな治療法開発

基礎研究が進むことで、膵臓がんに対する新たな治療法開発が期待されます。
この分野での研究成果は、がん細胞の特性やメカニズムの解明、新規治療薬の開発、治療適応基準の見直しに貢献します。
さらに、先述の免疫療法や分子標的療法の開発も基礎研究に支えられています。

 

膵臓がんの余命を延ばす治療法

膵臓がんの治療は、早期発見が難しいため、余命を延ばすことが重要です。
最先端技術を応用した治療法が次々と開発され、患者の生活の質を向上させる可能性があります。

まず、手術療法が最も効果的です。腫瘍の切除が可能な場合は、全摘術や膵頭切除が行われることがあります。
また、転移があってもリンパ節除去や腹膜切除などの手術で、転移を抑制することができます。

次に、放射線療法や化学療法が組み合わせられることが多いです。
放射線療法では、細胞を破壊することで腫瘍の増殖を抑えます。化学療法は、抗がん剤を用いてがん細胞の成長を抑えることが目的です。
これらの治療法が効果的な場合には、余命が延びることが期待できます。

最近では、免疫療法も注目されています。がん細胞を攻撃する免疫細胞を活性化させることで、がん細胞を排除しようとする治療法です。
さらに、ターゲット療法によって、がん細胞の特定の分子に作用する薬を使用し、通常の細胞に影響を及ぼさずにがん細胞を撃退することが可能です。

以上のような治療法が膵臓がんの余命を延ばすことに寄与しており、最先端の医療技術をうまく利用することが不可欠です。

5.まとめにかえて

膵臓がんは、確かに治療が難しいケースが少なくないと言われますが、医療は日々進歩しています。
抗がん剤治療における薬剤の種類が増え、手術と併用することで再発を予防したり、進行したがんを縮小させたりするケースも認められています。重要なのは、病気の進行度や状況に応じて、最適な治療法を医師とともに検討し、希望を持って治療に臨むことです。

病気との闘いは、決して一人で立ち向かうものではありません。医師や看護師、クリニックや院内の相談窓口といった周囲のサポート体制を気軽に活用してください。
ご家族や友人との密なコミュニケーションも、心の負担を軽減する重要な要素です。

患者さんご自身とご家族が、病気の有無にかかわらず、自分らしい生活の質(QOL)を維持し、期間を持って前向きな希望を見出せるよう、心から応援しています。

※この記事は2024年8月26日に作成され、2025年11月21日に内容を更新しました。

快適医療ネットワーク理事長

監修 
医学博士 上羽 毅

金沢医科大学卒業後、京都府立医科大学で研究医として中枢神経薬理学と消化器内科学を研究。特に消化器内科学では消化器系癌の早期発見に最も重要な内視鏡を用いた研究(臨床)を専攻。その後、済生会京都府病院の内科医長を経て、1995年に医院を開業。
統合医療に関する幅広し知識と経験を活かして、がんと闘う皆様のお手伝いが出来ればと、当法人で「がん患者様の電話相談」を行っております。