• 2024.11.11
  • 肺がん

肺がんと肺気腫の違いと闘い方を徹底解説

肺がんと肺気腫は共に肺に関する疾患であり、喫煙が大きな原因とされていますが、それぞれ異なる症状や治療法が存在します。
本コラムでは、肺がんと肺気腫の違いや予防方法、治療法について詳しく解説し、読者の皆さんが正しい知識を持ち、肺に関する病気と闘う力を身につけるための情報を提供します。
具体的には、以下の内容について説明いたします。

・肺がんと肺気腫の違いと関係性
・喫煙が肺がんと肺気腫に与える影響
・肺がんの早期発見と診断方法
・COPD患者が抱える肺がんリスク
・肺気腫の病態と慢性的な息切れへの対処法
・適切な治療法で肺がんと肺気腫をコントロールする方法
・生活習慣改善で肺がんと肺気腫を克服するためのアプローチ

ぜひ本コラムを参考に、肺がんや肺気腫との闘い方を学び、健康な生活を送るための手助けができればと思います。

1.肺がんと肺気腫の違いと関係性

肺がんは肺の細胞が異常に増殖し、腫瘍を形成する病気であり、進行が早く、全身に転移するリスクが高いことが特徴です。一方、肺気腫は慢性的な肺の疾患で、肺の空気の通り道である気道壁が壊れることで肺の機能が低下し、息切れや呼吸困難を引き起こす状態です。
肺がんと肺気腫は、根本的な原因や症状が異なりますが、喫煙や空気中の有害物質への暴露が両者の共通の危険因子です。また、肺気腫の患者は肺がんのリスクが高まることが研究で示されており、両者の関係性に注意が必要です。

肺がんと肺気腫の原因と症状の共通点と相違点

肺がんと肺気腫の共通の原因は喫煙が最も有名であり、タバコの煙に含まれる有害物質が肺の細胞や組織を損傷し、病気の発症につながります。肺がんは遺伝や放射線、肺炎や結核の炎症が原因となることもありますが、肺気腫は慢性の気管支炎や遺伝性のアルファ-1アンチトリプシン欠乏症が原因となることもあります。
症状の面では、肺がんは咳や喀痰、胸痛、体重減少などが見られ、肺気腫は息切れや呼吸困難、喀痰が多いことが特徴です。しかし、両者とも喫煙の影響を受けるため、症状が重なることもあります。

 

喫煙が肺がんと肺気腫に与える影響

喫煙は肺がんと肺気腫の最大の危険因子であり、喫煙者は肺がんのリスクが非喫煙者の15倍以上になると言われています。また、肺気腫の患者の80%以上が喫煙者であり、喫煙期間と本数が増えれば病気の重症度も増すことが知られています。
喫煙により肺がんや肺気腫のリスクが高まる原因は、タバコの煙に含まれる数千種類の有害物質が肺の細胞を損傷し、炎症や組織の破壊を引き起こすためです。禁煙は両疾患の予防や治療において最も効果的な方法です。

2.肺がんの早期発見と診断方法

肺がんの早期発見は治療の成功率や生存率を大幅に向上させます。早期発見のためには、定期的な健康診断や胸部のレントゲン検査が有効です。また、CT検査や呼吸機能検査、細胞診や組織診などの検査が肺がんの診断に有益です。
症状がない場合でも、高リスクな者は肺がん検診を受診するよう心掛けることが重要です。早期発見により、より治療効果が高く副作用の少ない方法を選択でき、生活の質の向上や延命効果が期待されます。

肺がんの症状から見逃しやすい早期徴候について

肺がんの早期徴候は、症状が軽微であるため見逃されがちです。その理由として、初期症状には咳や痰、息切れなど風邪に似た症状が挙げられます。しかし、これらの症状が長引く場合や、病気の進行で血痰が出るような状態に変化する場合は注意が必要です。
また、肺がんは喫煙が一般的な原因ですが、非喫煙者でも罹患するリスクがあります。早期発見には定期的な検査が重要であり、胸部CTや呼吸機能検査など医療機関で行われる検診を受けることが推奨されます。
早期の肺がんは手術や放射線治療で治癒が期待できますが、進行した肺がんは治療が困難となり、死亡率も高くなってしまいます。そのため、症状の変化に気付いた際は早期の内科受診や専門医の相談をお勧めします。

 

肺がん検診と胸部CTの活用法

肺がん検診において、胸部CTは非常に有用な方法です。その理由は、CTが高い解像度で肺組織を詳細に観察できるためです。肺がんの早期発見には、小さな腫瘍の検出が重要であり、胸部CTはその点で優れた成果を挙げています。
肺がん検診は、主に40歳以上の喫煙者や高リスク者を対象に行われることが多いですが、非喫煙者や若年層も皆無であるとは言えません。定期的な検診により早期発見が可能となり、治療の効果が高まります。
肺がん検診は、国や自治体が推奨する検診のほか、個人で受診することも可能です。その際、専門機関にアクセスし、適切な検査を選択することが求められます。

3.COPD患者が抱える肺がんリスク

慢性気管支炎を伴った肺気腫はCOPDと呼ばれます。COPDの患者は、肺がんリスクが高いとされています。その理由は、COPDと肺がんの発症原因である喫煙が大きく関与していることが挙げられます。さらに、COPD患者の肺は慢性的な炎症状態にあり、細胞が損傷を受けやすくなるため、肺がんへの進行が容易になります。
また、COPDの症状と肺がんの症状が重複するため、診断が難しいこともリスクを高める要因となります。したがって、COPD患者は定期的な肺がん検診を受けることが重要です。
肺がんの予防策として、禁煙や喫煙習慣の改善、呼吸器疾患の治療や管理が求められます。加えて、健康的な生活習慣の維持や運動習慣の継続も肺がんリスクの低減につながります。

COPDの進行と肺がんの合併症の関係性

COPDの進行と肺がんの合併症は密接な関係があります。COPDの進行に伴い、肺機能の低下や気道の閉塞が起こり、全身の状態に悪影響を及ぼすことが原因です。このような状況下では、肺がんの合併症が発生しやすくなり、予後も不良となります。
また、COPD患者は呼吸不全が生じることもあり、肺がん治療の選択肢が限られることがあります。これは、手術や放射線治療が呼吸機能に影響を与えるためです。
したがって、COPD患者においては、早期の肺がん発見が治療成功のカギとなります。肺がんリスクの高いCOPD患者は、定期的な検診と症状の監視を行い、必要に応じて医師と相談し治療を進めることが望ましいです。

 

COPD患者の生活改善で肺がんリスクを減らす方法

COPD患者は、生活改善を行うことで肺がんリスクを減らすことができます。まず、喫煙をやめることが最も重要です。喫煙はCOPDと肺がんの主要な原因であり、禁煙は症状の改善だけでなく、がんの発症リスクも低下させます。
次に、適度な運動を取り入れましょう。運動は呼吸機能を向上させ、肺の健康を維持することに役立ちます。運動は心臓機能も向上させるため、全身の血液循環が良くなります。しかし、無理をせず医師と相談しましょう。
また、健康的な食生活を心掛けることも大切です。抗酸化物質が豊富な果物や野菜を多く摂取し、肉の過剰摂取を避けることで、体内の炎症を抑えることができます。
定期的な検査も重要です。早期発見が治療の成功に繋がるため、検診を受けることで肺がんリスクを低減できます。最後に、呼吸法を学ぶことも効果的です。呼吸法は息切れの軽減やストレス緩和に役立ち、症状の改善につながります。

4.肺気腫の病態と慢性的な息切れへの対処法

肺気腫は、肺胞が壊れることで肺の機能が低下し、慢性的な息切れを引き起こす疾患です。肺胞が壊れる原因は、喫煙や大気汚染などの繰り返しの刺激で炎症が起こり、肺の破壊酵素のバランスが崩れるためです。肺が広がることが困難になり、空気の閉塞が起こるため、呼吸が困難になります。
慢性的な息切れへの対処法として、まず、原因となる刺激から身を守ることが重要です。喫煙の禁煙や、大気汚染の少ない環境を選ぶことが効果的です。
次に、適度な運動を行いましょう。運動は肺機能の改善に役立ちますが、無理は禁物であり医師と相談して適切な運動強度を決めましょう。
最後に、医療機関で適切な治療を受けることも大切です。薬物療法や酸素療法など、症状に応じた治療が行われます。

肺気腫の進行過程と壊れた肺胞の状態

肺気腫の進行過程は、まず、肺胞壁が炎症を起こし、その結果、肺胞の周辺の細胞が破壊されます。その後、隣接する肺胞が融合し、空気が閉じ込められるようになります。この空気の閉塞が肺の拡張性を低下させ、呼吸が困難になります。
壊れた肺胞は、健康な肺胞に比べて酸素と二酸化炭素の交換が困難になります。これは、肺胞壁が薄く破壊されているため、ガス交換の効率が低下するからです。
また、壊れた肺胞は、拡張された状態で空気が閉じ込められたままになり、呼吸に必要な筋力が増大するため、息切れが悪化します。
この状態が進行すると、肺の容量が低下し、最終的に呼吸不全を引き起こすことがあります。そのため、早期の診断と適切な治療が重要です。

 

肺気腫患者が行うべき呼吸機能改善の運動

肺気腫患者が行うべき呼吸機能改善の運動は、まず、腹式呼吸法です。腹式呼吸法は、横隔膜を使って呼吸を行うことで、呼吸効率が向上し、息切れが軽減します。毎日練習し習慣化しましょう。
次に、肺活量を増やすために、深呼吸の練習が効果的です。深呼吸は、肺胞を伸ばして、酸素の取り込みを助けます。
また、身体を動かす軽い運動も呼吸機能改善に役立ちます。散歩や水中運動など、患者に適した運動を医師と相談しましょう。
さらに、呼吸筋の強化を目的とした運動も有効です。例えば、吹き矢や口笛を吹くことで、呼吸筋を鍛えられます。
最後に、リラックス効果のあるストレッチやヨガも、呼吸機能改善に役立ちます。ストレスが解消され、呼吸が楽になります。

 

肺がんと肺気腫を克服するための生活習慣改善

肺がんと肺気腫のリスクを軽減するためには、生活習慣の改善が重要です。喫煙を完全に止めることはもちろん、適度な運動やバランスの取れた食事、ストレスの解消などが効果的です。また、定期的な健康診断や検診を受けることで、早期発見・早期治療に繋がります。さらに、風邪や感染症に対する予防策や、過労や不規則な生活を避けることも大切です。これらの生活習慣改善を実践することで、肺がんと肺気腫を克服し、健康的な生活を維持することが可能となります。

 

より健康な生活を送る方法と注意点

健康な生活を送るために、まず適度な運動が重要です。ウォーキング、ジョギング、スイミングなど、自分に適した運動を選び継続して行うことで、身体機能の維持向上が期待できます。
また、食事にも注意し、バランスの良い栄養摂取が大切です。特に野菜や果物を積極的に取り入れ、塩分や脂質の摂取量には注意しましょう。
喫煙は肺がんやCOPDの原因となるため禁煙が推奨されます。禁煙によって、疾患のリスクを大幅に減らすことができます。
十分な睡眠を確保し、ストレスを適宜解消することも大切です。良い睡眠環境を整え、リラックスできる時間を作ることで、心身の健康を保つことができます。
定期的な健康診断や病院での受診で、早期発見・早期治療が可能になります。特に高齢者や慢性の疾患を持つ方は、定期的な検診が重要です。
最後に、健康情報を正しく理解し、正確な知識を身につけることで、より健康な生活を送ることができます。

5.まとめ

肺がんと肺気腫との闘いにおいては、まず早期発見が重要です。定期的な検診やCT検査により、病気の進行状況を把握しましょう。
治療においては、医師と相談しながら最適な治療法を選択してください。肺がんには手術や放射線治療、抗がん剤治療などがあり、肺気腫には薬物療法や酸素療法が行われます。
また、生活習慣の改善が病気との闘いに大きく影響します。禁煙や適度な運動、バランスの良い食事を心がけることで、病気の進行を抑えることができます。
最後に、病気に関する情報や最新の研究にも注目し、医師と密に連携して治療を進めましょう。
今後の健康維持に向けて、ぜひここで得た知識を活かし、自身の健康管理に役立ててください。

快適医療ネットワーク理事長

監修 
医学博士 上羽 毅

金沢医科大学卒業後、京都府立医科大学で研究医として中枢神経薬理学と消化器内科学を研究。特に消化器内科学では消化器系癌の早期発見に最も重要な内視鏡を用いた研究(臨床)を専攻。その後、済生会京都府病院の内科医長を経て、1995年に医院を開業。
統合医療に関する幅広し知識と経験を活かして、がんと闘う皆様のお手伝いが出来ればと、当法人で「がん患者様の電話相談」を行っております。