• 2024.09.24
  • 悪性リンパ腫

悪性リンパ腫と上手に向き合う。症状・治療・余命まで解説

悪性リンパ腫は、リンパ系に発生するがんの一種です。このコラムでは、悪性リンパ腫の症状や治療法、余命について詳しく解説します。
まずは、悪性リンパ腫の分類やそれぞれの特徴と原因について述べたうえで、初期症状や検査方法を見ていきます。また、治療法の選択肢として、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の治療法の違いや、抗がん剤や免疫療法、放射線治療、手術について説明します。
さらに、患者さんと家族ができる支援とケア、予防策と早期発見の重要性についても触れます。最後に、余命と生存率に関する情報を提供し、悪性リンパ腫と上手に向き合うための知識を身につけましょう。
悪性リンパ腫に関する疑問や不安を解消し、適切な治療選択や生活改善の参考にしてください。

1.悪性リンパ腫とは

悪性リンパ腫は、リンパ系組織に発生するがんの一種で、リンパ球と呼ばれる血液の細胞が異常増殖し、リンパ節や他の臓器に腫瘍を形成する病気です。
様々なタイプがあり、主にホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分類されます。
リンパ腫の診断は、症状や検査結果を基に医師によって行われ、組織検査や血液検査、放射線検査などが必要となる場合があります。
また、リンパ腫は全身的な病気であるため、患者の全身状態や他の病気との関連性も評価されます。
悪性リンパ腫の治療法は、病気の進行や患者の状態によって異なりますが、化学療法や放射線療法、免疫療法などが選択されることが一般的です。副作用や再発のリスクが懸念されるため、治療選択や経過観察は医師と患者との密接な相談が行われます。
早期発見と適切な治療が生存率の向上につながるため、リンパ腫の予防や健康管理に注意を払い、異常があれば早期受診が重要です。

 

発症原因と悪性リンパ腫の分類

悪性リンパ腫の発症原因は、遺伝的要素や免疫システムの低下、ウイルス感染などが考えられますが、明確な原因は未だ解明されていません。そのため、リンパ腫の予防には、様々な要因に注意を払い、免疫力を維持することが重要とされています。
リンパ腫は約60種類に分類され、大まかにホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に区別されます。
ホジキンリンパ腫は特徴的な細胞が見られることから、容易に診断が可能です。
非ホジキンリンパ腫は多種多様であり、診断や治療の難易度が高いことが一部の症例で認められます。

 

悪性リンパ腫の特徴と原因

悪性リンパ腫は、それぞれの種類によって症状や進行速度、治療効果に違いがあります。
例えば、急性リンパ性白血病は急速に進行し、適切な治療が行われない場合、危険な状態に陥ることがあります。一方、慢性リンパ性白血病は進行が緩やかで、治療が必要ない場合もあります。
悪性リンパ腫の原因は、ウイルス感染や免疫システムの低下、遺伝的要素などが関与しているとされていますが、それぞれのリンパ腫に特有の原因は明確ではありません。
研究が進められ、より具体的な原因や治療方法が明らかになることが期待されています。

 

 

2.悪性リンパ腫の症状と診断

 

悪性リンパ腫の症状と診断のプロセスは、まず患者が異常を感じた際に受診し、医師による診察が行われます。その際、リンパ節の腫れや全身の倦怠感、発熱などの症状が確認されます。
これらの症状が悪性リンパ腫の可能性を示唆する場合、診断のための検査が実施されます。検査には血液検査や画像検査、リンパ節の細胞診や組織検査が含まれます。
診断後、病気の段階や組織型、患者の健康状態などを考慮し、医師は最適な治療法を選択します。
患者は治療の経過を確認するため、定期的な検査を受ける必要があります。

 

よく見られる初期症状とその他のサイン

悪性リンパ腫の初期症状には、リンパ節の腫れが最も一般的で、特に首、脇の下、鼠径部に現れることが多いです。
その他には、持続的な発熱、夜間の発汗、体重減少、疲労感、かゆみなどが挙げられます。ただし、これらの症状は他の病気でも現れるため、必ずしも悪性リンパ腫を意味するわけではありません。
これらの症状が現れた場合、まず一般内科や消化器科などの診療科を受診し、適切な診断が行われます。

 

使用される主な検査方法とその手順

悪性リンパ腫の診断には、まず血液検査が行われます。白血球数や免疫機能の低下、肝臓や腎臓の機能異常などが確認されます。
次に、画像検査を実施することで、腫瘍の位置や大きさ、発生している臓器が明らかになります。主にCTスキャンやMRI、PETスキャンが用いられます。
最後に、リンパ節細胞診や組織検査が行われ、リンパ腫の種類や悪性度が判定されます。これらの検査結果をもとに、医師は最適な治療法を選択します。

 

ステージ分類とその意義

リンパ腫のステージ分類は、病気の進行具合を示します。診断時にステージ分類を行うことで、最適な治療法を選択するための重要な情報が得られます。
まず、悪性リンパ腫はホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大別されます。これらのリンパ腫のステージは、腫瘍の大きさやリンパ節の適用範囲、他の臓器への広がり具合などによって分けられます。
具体的には、ステージIは病変が限定的な範囲内で、ステージIIでは病変が一部のリンパ節に広がっています。ステージIIIでは病変が複数のリンパ節群に広がっており、ステージIVでは全身に広がり、他の臓器にも影響が出ています。
このステージ分類は、患者の予後や生存率に関する情報提供のほか、治療の選択肢を考慮する際にも重要な役割を果たします。初期のステージのリンパ腫は、軽度の治療で効果的に対処が可能ですが、進行したステージのリンパ腫では、より強力な治療が必要となります。
最終的には医師と患者がよく相談して、症状やステージに応じた適切な治療法を選択しなければなりません。

3.悪性リンパ腫における治療の選択肢

リンパ腫の治療法には、さまざまな種類があります。一般的には、化学療法、放射線治療、免疫療法、造血幹細胞移植などがあります。

・化学療法
 癌細胞の増殖を抑制し、腫瘍の大きさを小さくする目的で薬物を使う治療法です。副作用があるものの効果は期待できます。
・放射線治療
 高エネルギーの放射線を腫瘍に照射し、癌細胞を破壊する治療法です。副作用は化学療法よりも少ないですが、適応範囲が限定されます。
・免疫療法
 腫瘍を攻撃する患者自身の免疫機能を活性化させる治療法です。副作用は少ないものの、効果に個人差があります。
・造血幹細胞移植
 患者やドナーの骨髄を移植し、新たな免疫機能を獲得させます。完治を目指して行われるケースが多いものの、リスクも高い治療です。

治療法の選択は、医師と患者が病状やリスクを考慮し、最適な方法を決定します。

 

ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の治療法の違い

ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の治療法には、いくつかの違いがあります。
まず、ホジキンリンパ腫は、特定の細胞(リード・スターンベルグ細胞)を含むため、治療過程でその特性を考慮することが必要です。非ホジキンリンパ腫は、多様なタイプがあるため、その種類に応じた治療が行われます。
ホジキンリンパ腫では、化学療法と放射線治療が主に行われます。特に、ABVD療法と呼ばれる化学療法が一般的です。一方、非ホジキンリンパ腫は、病状に応じて化学療法、放射線治療、免疫療法などが選択されます。
また、ホジキンリンパ腫は若年層に多く発症し、非ホジキンリンパ腫は中高年に多いため、治療選択にも年齢や全身状態が影響します。さらに、ホジキンリンパ腫は、非ホジキンリンパ腫に比べて治癒率が高く、治療成績も比較的良好です。
最終的には、医師の判断と患者との相談によって、それぞれの悪性リンパ腫に適した治療法が選択されます。治療を選択する際は、病気の種類やステージ、患者の年齢や全身状態などを総合的に評価し、最善の方法を選ぶことが大切です。

 

抗がん剤や免疫療法による治療と副作用

抗がん剤や免疫療法は、がん治療において主要な手段のひとつであり、悪性リンパ腫をはじめとする悪性腫瘍の対策として広く活用されています。
特に、悪性リンパ腫の場合、細胞の異常増殖を抑える効果が期待でき、進行を遅らせることが可能です。しかし、治療効果と引き換えに副作用が発生することがあります。
抗がん剤治療の副作用としては、白血球数の低下、脱毛、吐き気、食欲不振などが挙げられます。また、免疫療法では免疫力の調整を行うため、感染症が発症しやすくなることがあります。悪性リンパ腫の患者に適した治療法や副作用の緩和については、担当医師と相談しましょう。
副作用に対処する方法として、薬物療法やサポート治療があります。また、栄養管理や適度な運動、心身のケアも重要です。最適な治療計画を立てるためには、病状や進行度、患者の体調や希望を考慮することが必要です。
治療の選択には、悪性リンパ腫の種類や病期、悪性度などが考慮されますが、副作用への対策や生活の維持が重要です。副作用が懸念される場合、医師と相談し、治療の選択肢を検討しましょう。
悪性リンパ腫の治療は病気の進行を抑えるために重要ですが、副作用を最小限に抑えることで、患者の生活の質を向上させることができます。

 

放射線治療や手術の適応と注意点

放射線治療は、悪性リンパ腫治療の一つで、腫瘍に対し放射線を照射して細胞を破壊する方法です。特に、リンパ腫の進行が局所的で全身的な病変が少ない場合に適応とされることが多いです。
ただし、放射線治療には注意点があります。放射線が正常な細胞にも影響を与えるため、皮膚の炎症や嚥下障害、感染症などの副作用が起こる可能性があります。
手術による治療は、リンパ腫が原因で機能障害が起こっている臓器を除去する場合に行われます。例えば、リンパ腫による腫瘍圧が神経や血管に影響を及ぼす場合、手術が適応となります。ただし、手術治療には合併症や感染症のリスクが伴います。
放射線治療や手術治療の適応や注意点については、医師と相談し、患者の状況や他の治療法と比較して最適な方法を選ぶことが重要です。

 

 

4.悪性リンパ腫の発症リスクを抑えるために

リンパ腫の発症リスクを減らすための生活習慣や予防法には、以下のポイントが挙げられます。

・健康的な体重の維持
・タバコやアルコールの摂取の制限
・適度な運動の継続
・ストレスの軽減
・充分な睡眠の確保
・野菜や果物を中心としたバランスの良い食事

これらの生活習慣は、免疫力を高めることが期待でき、悪性リンパ腫の発症リスクを低下させる可能性があります。
また、悪性リンパ腫患者の場合、免疫力低下による感染症のリスクが高まるため、こまめな手洗いやマスクの着用などの予防策を行いましょう。さらに、定期的な健康診断や病気の早期発見に努めることも重要です。
健康な生活を送ることは悪性リンパ腫の予防にも繋がりますが、万が一発症してしまった場合も、適切な治療とケアにより生活の質を維持することができます。そのため、自分に適した生活習慣を見つけ、継続することが大切です。

 

予防策と早期発見の重要性

悪性リンパ腫の予防策としては、免疫力を維持する生活習慣が重要です。
また、早期発見につながる定期健診や自己チェックを行いましょう。腫れたリンパ節や持続的な発熱、疲労感などの症状があれば、早めに受診が必要です。
早期発見・早期治療によって、治療効果が高まり、生存率も向上します。
予防策と早期発見の意識を高めることが、患者と家族にとって大切なことです。

5.悪性リンパ腫の余命と生存率

悪性リンパ腫の余命や生存率は、病気の種類や病期、患者の年齢や体力、治療法など様々な要素によって異なります。
適切な治療を受けることで、多くの患者が長期間生存することが可能です。
また、一部の悪性リンパ腫では、完全寛解を目指すことができます。
医師とよく相談しながら、自分に合った治療法を選択しましょう。最近の医療技術の進歩によって、より効果的な治療法が開発されており、生存率の向上が期待されています。

6.まとめ

悪性リンパ腫と上手に向き合うためには、情報収集やサポートグループへの参加、適切な医療選択が大切です。
患者さんと家族が協力し、予防策や早期発見の意識を高め、適切な治療を受けることが重要です。今後の医療技術の進歩により、さらなる治療効果や生存率の向上が期待されます。
次の一歩として、専門家と相談し、自分に適した治療法を見つけましょう。

快適医療ネットワーク理事長

監修 
医学博士 上羽 毅

金沢医科大学卒業後、京都府立医科大学で研究医として中枢神経薬理学と消化器内科学を研究。特に消化器内科学では消化器系癌の早期発見に最も重要な内視鏡を用いた研究(臨床)を専攻。その後、済生会京都府病院の内科医長を経て、1995年に医院を開業。
統合医療に関する幅広し知識と経験を活かして、がんと闘う皆様のお手伝いが出来ればと、当法人で「がん患者様の電話相談」を行っております。