• 2024.09.02
  • 肝臓がん

末期肝臓がん・余命1ヶ月のケアと治療法

末期と診断を受けた肝臓がんの患者様には、医師からそのタイミングで余命の説明を受けることもあります。
中でも、余命1ヶ月と診断されたとき、患者やご家族は死への恐怖や身体への負担について深く考えざるを得ない状況です。
医療機関や病院に通う回数が増え、具体的な緩和ケアや入院のタイミングを考える必要が生じます。また、身体の状態に伴う変化として、血圧の低下や顔つきの変化、食事量や栄養摂取の度合いが低下し、せん妄の発生や強い苦痛を訴えるケースもあります。さらに死に対する恐怖や精神的な負担も増大しやすい傾向にあります。
ただし、すべての末期患者が苦痛の中で生活をされているわけではありません。通院先や訪問診療の医師、医療スタッフとの連携を行い、日常生活を送る方もいらっしゃり、ケアの在り方というものは一つではありません。
本コラムでは、末期患者の体調管理や血圧測定、食事の方向性など、実際のケア方法を解説します。
入院か自宅かを選ぶ際、病棟やホスピス、クリニック、さらには在宅診療など多様な施設やサービスを理解しておくことが大切です。ある程度の苦痛を減らすために薬剤をどう使うか、電話や外来での相談が可能かといった情報も、医師やスタッフと何度もコミュニケーションを取りながら決めるとよいでしょう。

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1.末期肝臓がん患者の生活とケア

肝臓がん末期患者は、症状の進行や治療方法によって日常生活が大きく変わります。また、家族や医療チームとの連携が重要となります。肝臓がんの進行に伴って症状が悪化し、患者は痛みや食欲低下、全身の倦怠感を訴えることが一般的です。

末期肝臓がんの治療では、症状や状態により手術や放射線治療、化学療法が選択される場合がありますが、患者の生活の質を重視した緩和ケアが重要となります。緩和ケアは、痛みや症状を緩和させるだけでなく、心身のサポートや家族へのケアも含まれます。

患者や家族は、医師や看護師と相談して、適切なケア方法を見つけることが大切です。与えられた時間を有意義に過ごすために、患者の希望やニーズに応じたサポートが必要です。

肝臓がん1

末期肝臓がんの患者が経験する症状

末期肝臓がんでは、肝臓の機能が大幅に低下するため、身体全体に影響が及びます。進行度が高まるにつれて顔つきがやつれる、血圧が不安定になるといった変化が見られます。以下は主な症状に関する解説です。
・腹部痛や腫れ、腹水の蓄積
・食欲の低下
・体重減少
・筋力の低下
・黄疸や尿・便の色調変化
・吐き気や嘔吐
・血液凝固異常による出血傾向
副作用や肝機能の状態によっては、吐き気止めや痛み止めなどの薬剤を使用して症状を緩和します。ただし、せん妄や強い不安感が出現する場合もあり、電話相談や面談を通じて医療スタッフに早めに伝えることが重要です。入院するか在宅療養を選択するかは、家族の希望や体の状態、約どの程度ケアが必要かを総合的に検討して決定します。症状が進行しても、適切な緩和ケアを受けることで、できる限り安定した日々を過ごせます。

 

患者の心身への影響と適切なケアの方法

末期肝臓がんは、患者の心身に大きな影響を与えます。不安や恐怖、孤独感、抑うつなどの精神的な影響が生じることがあります。適切なケアの方法として、以下の点が挙げられます。

 - 痛みや症状の緩和: 医師や看護師と相談し、適切な薬物療法や医療機器を利用して痛みや症状を緩和させることが重要です。

 - 心理的サポート: 患者の精神的な不安やストレスを軽減するために、カウンセリングや心理療法の利用が有効です。

 - 家族や友人との絆: 患者が家族や友人との時間を過ごし、精神的な支えを得られる環境を作ることが大切です。

 - 適度な運動やリハビリテーション: 患者の筋力や体力を維持・改善するために、適度な運動やリハビリテーションが必要です。専門家と相談し、適切なプログラムを組み立てることが重要です。

 

家族やケアチームとのコミュニケーション重要性

家族やケアチームとのコミュニケーションは、がん患者の治療やケアにおいて極めて重要です。理由としては以下の通りです。

 - 患者の症状や状態の把握: 家族やケアチームとの適切なコミュニケーションを通じて、患者の状態や症状の変化を把握し、適切な診断や療法の選択が可能になります。

 - 必要な情報の共有: 患者の治療計画や症状の変化に関する情報を、家族やケアチームと共有することで、各々が担当する役割を効果的に果たすことができます。

 - 患者の心理面のケア: 家族やケアチームとのコミュニケーションが円滑であれば、患者の心理面のケアも適切に行われることで、治療への協力が得られやすくなります。

 - 生活習慣の改善や予防策の実施:家族やケアチームと情報を共有することで、患者の生活習慣の改善や病気の予防策について効果的な指導が行えます。

以上の理由から、家族やケアチームとのコミュニケーションの重要性は言うまでもありません。

 

末期がん患者の食事について

末期の肝臓がん患者への食事管理は、衰弱した体力や肝機能の低下を考慮しつつ、十分な栄養摂取を確保することが大切です。エネルギー補給を意識する一方で、肝臓への負担を最小限に抑えるため、高脂質や過剰な油分を控えめにする必要があります。食材選びでは、消化吸収が良くタンパク質を補いやすい大豆製品や白身魚、鶏肉などを優先します。ただし、塩分過多にならないよう注意することも忘れてはなりません。食欲が低下しがちな状態では、少量頻回に分けて食事を摂ると、無理なく栄養を取り込めます。

野菜は加熱によってかさが減り、ビタミンやミネラルを摂取しやすくなります。患者の嗜好にも配慮し、好みに合った工夫を凝らすことで、食事への抵抗感を和らげることが可能です。ときには患者の好みを尊重しながら、無理のない範囲で嗜好品を取り入れることも、QOL向上に寄与します。心身の負担を軽減しつつ、栄養補給を最優先する柔軟な態勢が求められます。

具体例としては、以下のようなメニューが挙げられます。

・味噌汁に具だくさんの野菜や豆腐を加え、エネルギーとタンパク質を同時に補給
・白身魚の煮物や蒸し料理で胃腸にやさしいタンパク源を確保
・スープやポタージュで水分と栄養を手軽に摂取
・果物を使ったゼリーやコンポートで甘味とビタミンを補充

また、水分摂取を欠かさず行い、適切な利尿や代謝を促すことも肝要です。担当医や栄養士との連携を深め、身体の状態や食欲の変動に応じた調整を行うことが望ましいです。

 

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2.余命1ヶ月の肝臓がんの治療法

余命1ヶ月と診断された肝臓がんの治療法は、患者の症状や状態に応じて、緩和ケアや対症療法が選択されます。主に以下の治療法が用いられる場合があります。

 - 緩和ケア: 末期がん患者の痛みや苦しみを和らげることを目的とした治療です。痛みや食欲不振、疼痛、憂うつなどの症状に対応するため、薬物治療や物理療法が用いられます。

 - 対症療法: 患者の症状や合併症に対して、直接的ながん治療ではなく、症状の緩和を目的とした治療です。腹水の除去や肝機能の補助、栄養管理などが行われます。

これらの治療法は、患者の状態や症状、家族の希望に応じて選択され、治療効果や副作用を考慮しながら医師と相談して決定されます。

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現在の治療法:手術、放射線、化学療法

がん治療には、現在主に手術、放射線治療、化学療法の3つの方法が用いられています。

手術: 腫瘍を切除することでがん細胞を除去し、治癒を目指す治療法です。がんの進行や位置、患者の全身状態などを考慮して適応が決定されます。

放射線治療: 放射線を利用してがん細胞を破壊する治療法です。局所的に照射することができ、正常な細胞に与える影響を最小限に抑えることが可能です。

化学療法: 抗がん剤を用いてがん細胞の増殖を抑制する治療法です。全身に転移している場合や、手術が困難な状況下で用いられます。

これらの治療法は、患者のがんの状態やステージ、一般的な健康状態等を考慮して医師の助言を受けながら選択されます。また、これらの治療法を組み合わせて行う場合もあり、最善の治療効果や患者のQOLを維持・向上させることを目指して実施されます。

 

革新的な治療法:免疫療法と分子標的療法

近年、がん治療において革新的な治療法として注目を集めている免疫療法と分子標的療法があります。免疫療法は、がん細胞に対する免疫システムの働きを促進することで、がんの進行や転移を抑制し、患者の生存期間を延ばすことが期待されています。分子標的療法は、がん細胞の特異的な分子を標的として、がん細胞の増殖や侵襲能を抑えることができます。

免疫療法には、様々な方法がありますが、主なものとしては、チェックポイント阻害剤やCAR-T療法が挙げられます。チェックポイント阻害剤は、がん細胞が免疫システムを抑制する働きを持つ「チェックポイント」と呼ばれる分子を阻害することで、免疫応答を促進させます。CAR-T療法は、患者自身のT細胞にがん細胞を認識・攻撃する能力を付与し、再び体内に戻すことで、効果的ながん治療を実現しています。

分子標的療法は、がん細胞特異的な分子に対して選択的に作用する薬物を用いる治療法で、通常の化学療法と比べて副作用が少なく、患者の生活の質を向上させる効果があります。分子標的療法には、EGFR阻害剤やALK阻害剤など、がんの種類や遺伝子変異に応じた様々な薬物が開発されています。

これらの革新的な治療法は、がん治療の選択肢を広げ、多くの患者に希望をもたらしています。しかし、免疫療法や分子標的療法に対する効果は個人差があり、あらかじめどの患者に効果があるかを判断することは難しい場合もあります。そのため、医師との綿密な相談が必要です。

 

緩和ケア:症状緩和と生活の質の向上を目指して

緩和ケアは、がん患者の痛みや症状を緩和し、生活の質の向上を目的とした治療法です。緩和ケアは、患者や家族と共に、痛みや症状に対策を立てるだけでなく、患者の心のケアや家族のサポートも行います。緩和ケアの主な方法としては、薬物療法、非薬物療法、精神的ケアがあります。

薬物療法は、痛みや症状を軽減するための薬を使用します。痛みには鎮痛剤が、吐き気や食欲不振には制吐剤や食欲増進剤が用いられます。非薬物療法は、物理療法や放射線療法など、薬を使わない治療法で、症状の緩和を目指します。精神的ケアは、患者や家族が抱える不安やストレスを緩和し、心の健康を維持するためのケアです。

緩和ケアは、がんの進行や治療の選択肢が限られている末期がん患者だけでなく、初期から中期のがん患者にも適用されることがあります。緩和ケアは、患者や家族のQOLを向上させるだけでなく、病気と向き合い、自分らしい生活を送ることができるようサポートします。

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3.肝臓がん診断から末期への過程

肝臓がんは、初期症状が少なく、診断が遅れがちなため、進行が早く末期に達することが多いです。肝臓がんの進行過程は、主に次のステージに分けられます。

-初期肝臓がん: 肝臓組織内に腫瘍が認められる。

-進行肝臓がん: 腫瘍が肝臓から隣接する臓器やリンパ節に広がっている。

-転移肝臓がん: 腫瘍が肝臓から遠隔の臓器に転移している。

-末期肝臓がん: 肝機能が低下し、全身の症状が現れる。

肝臓がんの診断は、主に血液検査、画像検査、組織検査によって行われ、治療法はステージによって選択されます。初期の肝臓がんは手術や局所治療が選択されることが多く、進行・転移肝臓がんでは化学療法や分子標的療法が用いられます。末期肝臓がんでは緩和ケアが中心となります。早期発見と適切な治療が重要であり、医師と密に相談し、最適な治療法を選択することが必要です。

 

肝臓がんのステージ別特徴と予後

肝臓がんは一般的に4つのステージに分類され、それぞれのステージに特徴があります。ステージ1では、腫瘍が肝臓内に限局し、リンパ節や他の臓器への転移がありません。治療としては手術が適用されることが多く、予後は比較的良好とされています。

ステージ2では、肝臓がんが進行し、リンパ節への転移が見られる場合がありますが、他の臓器への転移はありません。この段階では、手術や放射線療法などが選択されることが多く、予後はステージ1に比べてやや悪くなります。

ステージ3では、肝臓がんはさらに進行し、他の臓器への転移が始まります。治療は化学療法や分子標的療法など全身療法が主となり、予後はさらに悪くなります。

ステージ4では、肝臓がんが全身に広がり、多くの臓器に転移している状態です。この段階では症状の緩和や家族との時間を優先するケアが主となります。末期の肝臓がん患者の生存期間は、概ね数ヶ月から1年程度とされています。

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癌転移の種類とその影響

癌転移とは、癌細胞が本来の組織から離れて新たな場所で増殖する現象です。癌転移は主に3つのタイプに分類されます。

まず、リンパ節転移は、癌細胞がリンパ管を通じてリンパ節に広がる現象です。リンパ節転移が確認されると、病気の進行が早まることが一般的であり、予後が悪いことが多いです。

次に、血管転移は、癌細胞が血管を介して他の臓器に広がる現象です。これは癌の進行がさらに進んでいる状態であり、治療が難しくなります。

最後に、腹膜転移は、腹膜を介して腹腔内の他の臓器に癌が広がる現象です。患者さんの痛みや食欲低下などの症状が現れ、予後が非常に悪くなることが多いです。

 

肝臓がん進行の予防法と早期発見の重要性

肝臓がんは、肝臓の細胞が異常増殖することで発生しやすく、進行すると治療が難しくなるケースが多いです。特にウイルス性肝炎や肝硬変を抱えている患者は、肝臓がんを発症するリスクが高いため、早期の検査と適切な治療が必要です。肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれ、がんの前兆としての自覚症状が出にくいため、定期的な健康診断が早期発見に寄与します。
肝臓がんの進行をできるだけ抑えるためにまずできることは、適切な生活習慣の維持です。アルコールの過剰摂取を控え、肥満につながる食生活には注意が求められます。
主な予防や早期発見のポイントとしては、次のような対策が挙げられます。
・アルコールの適量摂取と肥満防止
・ウイルス性肝炎の予防接種や定期的な検査
・潜在的な肝疾患の早期治療
・定期的な健康診断や画像検査の受診
早期に発見された肝臓がんは、手術や放射線治療などの選択肢が広がり、生存率の向上が期待できます。一方で、進行が進んだ場合には治癒が難しくなる可能性があります。今現在、肝臓がんと診断を受けていない方であっても、リスクを抱える方は日頃から予防を意識し、少しでも異変を感じた際には早めに医療機関を受診することが大切です。

肝臓がん克服者に学ぶ克服の秘訣

4.患者と家族へのサポート

がんは、患者だけでなく家族にも大きな影響を与える病気です。患者と家族へのサポートと情報提供は治療やケアの質を向上させ、症状の緩和や生活の質の向上につながるとされています。適切な情報提供は、患者の診断や治療に関する理解を深め、治療選択や療法の適応を容易にします。また、家族は患者のケアや病状の観察に重要な役割を果たすため、家族向けの情報や支援も必要です。特に在宅の場合、家族の負担が大きくなってしまったり、困りごとがあっても抱え込んでしまい、なかなか相談ができず孤独感を抱いてしまったりすることがあります。困ったときにすぐ繋がれる先があるように、支援先を確認しておくと安心です。

具体的な支援方法としては、医療関係者からの適切な情報提供や、各種検査結果の説明が挙げられます。また、医療専門家と家族の間での相談や、癌治療に関するセミナーや講習会への参加が役立ちます。さらに、患者や家族向けの支援団体やボランティア団体も利用することで、情報交換や相談が可能です。

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医療専門家との相談の重要性と効果的な方法

医療専門家との相談は、患者の治療選択やケアにおいて重要な役割を果たします。医療専門家は診断や治療法に関する正確な情報を提供できるだけでなく、病状や治療選択に関して患者と家族の不安や疑問に答えることができます。また、医療専門家との相談を通じて、患者や家族は治療方法や症状緩和に関する知識を得ることができ、治療やケアの質を向上させることが期待できます。

効果的な医療専門家との相談方法としては、事前に相談内容や質問項目をまとめておくことが重要です。また、相談時には患者本人や家族が一緒に参加し、情報共有を図ることが望ましいです。さらに、相談内容やアドバイスをメモすることで、後から確認や整理が容易になります。

 

健康保険と経済的な支援の活用法

がん治療は高額な費用がかかることが多く、経済的な負担が患者や家族に大きな影響を与えることがあります。健康保険を活用することで治療費の負担を軽減し、経済的な安心を得ることができます。また、がん患者向けの経済的な支援制度も存在し、適切に活用することで治療費の負担を減らすことが可能です。

活用法には、医療費控除や医療費助成制度などの制度を利用する方法があります。また、がん患者向けの経済的支援団体や民間の支援制度も存在し、情報収集や相談を通じて適切な支援を受けることができます。

5.患者と家族のためのまとめ

末期の肝臓がんにおいては、生活の質を保つために、医療機関と信頼関係を築き行えるケアの可能性を把握することが重要です。例えば入院の可否や在宅支援の度合い、食事内容の検討など、主治医や医療スタッフに相談し不安を軽減しましょう。
また、患者の苦痛を和らげるためのホスピスや精神的支援のサービスも複数存在します。経済的支援を活用すれば、治療費や入院手続きの負担が軽減される可能性があります。終末期においても適切なサポートを受け、安定した生活が送れるように努めてください。

※この記事は2024年9月2日に公開され、2025年6月6日に内容を更新しました。

 

快適医療ネットワーク理事長

監修 
医学博士 上羽 毅

金沢医科大学卒業後、京都府立医科大学で研究医として中枢神経薬理学と消化器内科学を研究。特に消化器内科学では消化器系癌の早期発見に最も重要な内視鏡を用いた研究(臨床)を専攻。その後、済生会京都府病院の内科医長を経て、1995年に医院を開業。
統合医療に関する幅広し知識と経験を活かして、がんと闘う皆様のお手伝いが出来ればと、当法人で「がん患者様の電話相談」を行っております。