• 2024.09.09
  • 乳がん

乳房の痛みは乳がん?その他の原因と検診方法

乳房の痛みを感じると、すぐに乳がんが心配になることが多いですが、実際には様々な原因が考えられます。
この記事では、乳がんの痛みの原因や特徴について解説し、それ以外にも乳房の痛みが発生する病気や状態をご紹介します。
また、乳がん検査の方法や痛みに対処するためのアプローチについても詳しく説明します。
それでは、乳がんと乳房の痛みに関して知っておくべき情報を学んでいきましょう。

1.痛みを伴う乳がんの症状と原因

乳がんは、乳腺組織の異常な細胞の増殖により発生し、しこりや乳頭からの分泌物などの典型的な症状が現れることが一般的です。
しかし、痛みを伴う場合もあります。
乳がんの痛みは、腫瘍の大きさや位置、神経への影響などによって引き起こされることが考えられます。
痛みを伴う乳がんの症状は、乳房内にしこりがある場合や皮膚の変化、乳頭からの分泌物が見られることが挙げられます。
原因としては、乳腺組織におけるがん細胞の増殖やホルモンの影響が関係しているとされています。
乳がんは検診で早期発見が可能であるため、定期的な受診が重要です。
また、病気の進行度や患者の状態により、治療方法は手術や放射線療法、ホルモン療法など多岐に渡ります。

 

乳がんに痛みが生じるメカニズム

乳がんに痛みが生じるメカニズムは、がん細胞の増殖によって乳腺組織が圧迫され、神経が刺激されることや、乳がんの腫瘍が周囲の組織やリンパ節に圧迫されることが主な原因です。
また、乳がん細胞が血管や神経に浸潤して痛みを引き起こすこともあります。

 

乳がんの痛みの種類と特徴

乳がんの痛みの種類と特徴は、乳房内のしこりや腫れに伴う痛み、乳房全体の痛み、乳頭や乳腺周辺の痛み、腋窩リンパ節の痛みや腫れなどが挙げられます。
それぞれの痛みには以下のような特徴があります。

・乳房内のしこりや腫れに伴う痛み: 圧痛や悪性腫瘍の増殖に伴う違和感
・乳房全体の痛み: 月経周期やホルモンの影響で生じる痛み
・乳頭や乳腺周辺の痛み: 乳がんの進行による乳頭や乳腺の炎症
・腋窩リンパ節の痛みや腫れ: がんの転移による痛みや腫れ

 

乳がんに痛みを伴うケースの割合

乳がんに痛みを伴うケースの割合は、全体の約15%とされています。
乳がんの痛みは必ずしもがんの進行度や重篤さを示すものではなく、初期症状でも痛みを伴う場合があります。
そのため、乳房に痛みや違和感がある場合は早期に医師の診察を受けることが重要です。
また、痛みがない場合でも定期的な乳がん検診を受けることで、早期発見や適切な治療が可能になります。

 

 

2.乳がん以外の乳房の痛みの原因

実際には、乳房の痛みの原因は乳がんだけではありません。
以下に、乳房の痛みを引き起こす主な要因をいくつか挙げます。

・良性乳腺疾患の痛み: 乳腺組織の良性腫瘍や乳腺炎など、乳房に関連する病気が痛みの原因となることがあります。
・月経前症候群(PMS)や妊娠に伴う乳房の痛み: ホルモンのバランスが変化することで乳房の痛みが生じることがあります。
・乳房の炎症や感染による痛み: 皮膚の炎症や乳腺組織の感染が痛みを引き起こすことがあります。

乳がんかどうかを判断するためには、適切な検査や診療が必要です。
乳房の痛みが続く場合や、他の症状が現れる場合には、専門の医療機関を受診しましょう。
これらの原因を理解し、適切な対処法を身に付けることで、乳房の痛みを軽減させることができます。

 

良性乳腺疾患の痛み

良性乳腺疾患による痛みは、乳房のしこりや腫れ、痛みなどの症状が現れることがあります。
良性乳腺疾患の中には、乳腺炎、乳腺腫、乳管拡張症、乳腺筋腫症などがあります。これらの疾患は、いずれも乳がんではないため、必要に応じて治療やフォローアップを行うことで改善が見られることが多いです。
症状が持続する場合や気になる場合には、医師に相談し、適切な診査・治療を受けることが重要です。

 

月経前症候群(PMS)や妊娠に伴う乳房の痛み

月経前症候群(PMS)や妊娠に伴う乳房の痛みは、ホルモンの変化が主な原因となっています。特に、月経の前や妊娠初期に、乳房が張るような痛みや敏感になることがあります。
このような状態は一時的であり、月経が始まったり、妊娠が進行すると自然と症状が改善されることが多いです。
ただし、痛みが強い場合や気になる症状がある場合は、専門の医師に相談してください。

 

乳房の炎症や感染による痛み

乳房の炎症や感染による痛みは、乳腺炎や皮膚の感染症が原因となっています。特に、授乳中の女性や乳房に外傷がある場合には、細菌が侵入しやすくなり、炎症や感染が起こりやすい状況です。
適切な治療を早期に行うことで症状は改善されますが、放置すると悪化する恐れがあるため、早めに医師の診察を受けることが望ましいです。

3.乳がん検診と痛みの関連性

乳がん検診では、しこりや変化を見つけることが重要であり、多くの場合、痛みは主要な症状ではありません。
しかし、痛みがある場合でも乳がんの可能性を除外するために検診が行われます。乳がん以外にも、乳腺炎や良性腫瘍など痛みを伴う病気がありますので、痛みの原因を特定するために検査が必要です。
乳がん検診では、医師による触診やマンモグラフィ、エコーなどの検査が行われます。これらの検査により、痛みの原因や乳がんの早期発見が可能となります。

 

乳がんの検診方法

乳がんの検診方法には、まず医師による触診が行われます。触診では、乳房全体とリンパ節をチェックし、しこりや腫れがないか確認します。
次に、マンモグラフィやエコー検査が行われます。マンモグラフィは、乳房を平たく押し付けることで、乳房組織の異常を見つける方法です。エコー検査は、音波を利用して乳房内の組織を調べ、しこりや腫瘍の性質を評価します。
これらの検診方法により、乳がんの診断や他の疾患の発見が可能です。

 

乳がんの診断の難しさ

痛みを伴う乳がんの診断は、痛みの原因が乳がんだけでなく、乳腺炎や良性腫瘍など他の疾患でもあるため、難しい場合があります。
また、乳房の痛みは月経周期やホルモンバランスにも関係しているため、特定の原因を見つけるのが困難なこともあります。
さらに、乳がんの進行や転移による痛みは、初期症状ではないことが多く、診断のタイミングが遅れる可能性があります。
そのため、定期的な乳がん検診や自己チェックが重要となります。

 

4.乳がんの痛みへの対処方法

乳がんの痛みに対処する方法は、まず痛みの原因を特定し、適切な治療を行うことが必要です。
乳がん以外の痛みの原因が判明した場合は、その病気の治療法に従って対処します。乳がんの痛みが確認された場合は、手術や放射線治療、抗がん剤などの治療が行われます。
また、痛みを緩和するために、鎮痛剤の使用や、リラクゼーション法、マッサージ、温熱療法などの方法が役立ちます。生活習慣の改善やストレスの軽減も痛みの軽減に繋がるため、日々の生活で意識することが大切です。
乳がんの痛みに悩まされている場合は、医師と相談し、適切な対処法を見つけることが大切です。

 

痛みを緩和する治療法の選択

乳がんによる痛みを緩和するためには、その原因や症状に応じた治療法を選択することが重要です。
まず、痛みの原因は乳がんの進行や腫瘍の位置、リンパ節への転移などが関係していることが多く、病院での診断や検査が必要です。
治療法としては、手術や放射線療法、化学療法、ホルモン療法などがありますが、患者の状態や進行具合によって適切な治療方法が異なります。
また、痛みに対する薬物療法も一般的で、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛薬の処方が行われることがあります。さらに、神経ブロックや酸素療法、緩和ケアなども痛みの緩和に効果的な選択肢となります。
患者本人の心身のバランスも痛みに影響するため、リラクゼーションやストレス緩和が求められます。

 

日常生活での痛み対策

日常生活の中で乳がんの痛みに対処する方法として、以下の対策があります。
まずは、適度な運動やストレッチを取り入れることで、筋肉の緊張を和らげ、関節の動きをスムーズにすることが効果的です。また、熱や冷たさを利用した温熱療法や冷却療法が痛み緩和に役立ちます。
睡眠も痛み対策には重要で、質の良い睡眠を確保するために、寝具の選択や寝る前のリラクゼーションが大切です。
さらに、食事や栄養バランスも痛みに関与するため、抗酸化物質やビタミンを多く含む食材を積極的に摂取しましょう。自分の体調や痛みの状態を把握し、無理をせず適度な休息を取ることも大切です。

5.まとめ:乳がんの痛みと向き合うために

乳がんの痛みと向き合うためには、適切な治療法の選択や日常生活での痛み対策が大切です。痛みを緩和する治療法には、手術や放射線療法、薬物療法、リラクゼーションなどがあります。
日常生活での痛み対策には、適度な運動、睡眠、食事のバランスが重要で、自分自身の体調を把握して無理を避けることも大切です。
最後に、乳がんの痛みに悩まされている方は、医師や専門スタッフと相談し、適切なサポートを受けることが求められます。気になる症状があれば主治医に相談し、適切な治療法や日常生活対策を確認しましょう。

快適医療ネットワーク理事長

監修 
医学博士 上羽 毅

金沢医科大学卒業後、京都府立医科大学で研究医として中枢神経薬理学と消化器内科学を研究。特に消化器内科学では消化器系癌の早期発見に最も重要な内視鏡を用いた研究(臨床)を専攻。その後、済生会京都府病院の内科医長を経て、1995年に医院を開業。
統合医療に関する幅広し知識と経験を活かして、がんと闘う皆様のお手伝いが出来ればと、当法人で「がん患者様の電話相談」を行っております。