• 2024.07.03
  • 乳がん

乳がんリンパ節転移の全貌!最新治療法と予防法

乳がんリンパ節転移の全貌を一挙に解説いたします。基礎知識から最新治療法、手術の種類と予防法まで、乳がんリンパ節転移に関する情報を専門的な視点からまとめています。リンパ節転移患者のケアや生活習慣の工夫も注目です。具体的には、まず乳がんリンパ節転移の基礎知識を解説し、次にリンパ節手術の種類と手順についてお伝えします。さらに、乳がんリンパ節転移による生活への影響と対処法についても触れていきます。

1.乳がんリンパ節転移の基礎知識

乳がんは、乳腺の組織が異常に増殖し、腫瘍となる病気です。乳がんがリンパ節に転移することがあります。リンパ節転移とは、がん細胞が乳房から腋窩(わきの下)のリンパ節に広がる現象のことを指します。リンパ節転移の有無は、乳がんの治療方針を決定する重要な要素です。

通常、乳がん患者にはセンチネルリンパ節検査が行われます。これは、乳がん細胞が最初に転移するリンパ節(センチネルリンパ節)を特定し、がん細胞の有無を調べる方法です。この検査によって、リンパ節転移のリスクが評価されます。

もしリンパ節転移が確認された場合、リンパ節切除や放射線治療などの治療が必要になります。また、リンパ節転移がある患者は、がんの再発リスクが高いため、ホルモン療法や薬物療法(化学療法)などの全身治療が行われることが多いです。

乳がんリンパ節転移の治療後は、腕のむくみ(リンパ浮腫)などの後遺症が残ることがあります。適切なケアとリハビリによって、生活の質を改善することが可能です。乳がん患者の治療とケアについては、最新の研究と臨床診療が進められており、今後もさらなる進歩が期待されています。

 

乳がん転移リスクを理解する

乳がん転移のリスクは、個々の患者の状況によって異なります。転移リスクを評価するためには、がんの大きさや乳がん細胞のタイプ、患者の年齢やホルモン受容体の状態など、複数の要素が考慮されます。

乳がんの種類によっても、転移リスクは変わります。例えば、トリプルネガティブ乳がんは、他のタイプの乳がんに比べて転移リスクが高いとされています。また、リンパ節転移が確認されると、患者の全身状態や治療効果を総合的に評価し、適切な治療法が選択されます。

乳がん転移リスクを理解することは、患者と医師が治療プランを立てる際に非常に重要です。患者は自分の状況とリスクを把握し、医師と共同で最適な治療方針を決定することが望ましいです。

 

リンパ節と乳がんリンパ節転移の関係

リンパ節は、リンパ液が流れるリンパ管の中間点に存在し、細菌やウイルスなどの異物を取り除く役割を担っています。リンパ液は、身体の隅々まで行き渡り、ウイルスや細菌、異物の除去を行っているため、がん細胞もこの経路で広がることがあります。

乳がん細胞がリンパ節に到達しても、すぐに転移するわけではありません。リンパ節の近くにある脂肪組織に溜まり、その後リンパ節に侵入することが知られています。また、リンパ節転移の範囲が広がることで、全身転移のリスクが高まる可能性があります。

乳がんリンパ節転移の診断は、センチネルリンパ節検査や超音波検査、CT検査などで行われます。リンパ節転移が確認された場合、リンパ節切除や放射線治療、薬物療法などが選択されます。リンパ節転移の治療は、早期発見と適切な治療が重要であり、定期的な検診や自己検診で乳がんの進行を早期に察知することも大切です。

 

センチネルリンパ節生検の重要性と手順

センチネルリンパ節生検は、乳がん治療において重要な役割を果たしています。

従来のリンパ節切除手術では腋窩リンパ節を全て摘出することが一般的でしたが、センチネルリンパ節生検は最初にがん細胞が転移するであろうリンパ節(センチネルリンパ節)のみを取り出して調べる方法です。

この手法により、患者の負担を軽減し、術後のリンパ浮腫や腕の運動制限などの副作用を抑えることができます。

センチネルリンパ節生検の手順は以下の通りです。

1. 日本では通常、手術前に青色色素と放射性物質を注射してリンパ節の流れを確認し、センチネルリンパ節を特定します。

2. 手術中に、青色色素や放射性物質を追跡してセンチネルリンパ節を見つけ出し、切除します。

3. 切除したリンパ節は病理学的検査を受け、がん細胞の有無を調べます。

4. もしセンチネルリンパ節に転移が認められなければ、追加のリンパ節切除は不要となりますが、転移が確認された場合は全範囲のリンパ節切除を行うことがあります。

センチネルリンパ節生検は、リンパ節転移の有無を正確に判断することが可能であり、適切な治療を選択する上で欠かせません。

 

リンパ節転移の診断方法と適用条件

リンパ節転移の診断方法には、検査と手術が主に用いられます。

検査では、乳がん検診の際に行われるエコーやMRIなどの画像検査でリンパ節の腫大や形状の変化を調べる方法があります。

また、リンパ節の針生検により、病理学的検査が行われることもあります。

一方、手術による診断方法としては、前述のセンチネルリンパ節生検が最も一般的です。

この手術は、乳がんの初期段階でリンパ節転移のリスクが低い患者に対して適用されることが多いです。

しかし、転移リスクが高い場合やすでにリンパ節腫大が認められる患者では、最初から広範囲のリンパ節切除が行われることもあります。

リンパ節転移の診断は、適切な治療法を選択するために重要なステップですが、治療の適用条件は個々の患者の状況やリスクに応じて変わります。

そのため、病院での診療や専門医との相談をしっかり行い、自分に適した選択をすることが重要です。

 

乳がんリンパ節転移の最新治療法と進行段階

乳がんリンパ節転移の治療法は逐次進化をしており、新しい治療法の開発や進行段階に応じた治療が行われています。

最新の治療法は以下の通りです。

– センチネルリンパ節生検

– 腋窩リンパ節温存術(リンパ節の一部のみを取り除く手術)

– ホルモン療法(ホルモン受容体陽性のがんに対する薬物療法)

– 抗体や分子標的薬物療法(特定のがん細胞の標的となる薬物療法)

– 化学療法(全身性のがん細胞を攻撃する薬物療法)

– 放射線療法(がん細胞に照射することで死滅させる療法)

乳がんの進行段階によって、治療法の選択肢が変わります。

例えば、初期の乳がんでは外科手術とホルモン療法や抗体療法が選択されることが多いですが、進行が

んでは化学療法や放射線療法がより適している場合があります。

最適な治療法の選択には、病院での診療や専門医との相談が重要です。

また、新しい治療法が開発されることで、治療の選択肢が増え、より良い治療成績やQOLの向上が見込まれます。

 

2.乳がんリンパ節手術の種類と手順

乳がんの治療において、リンパ節手術は不可欠な手段です。リンパ節にがん細胞が転移しているかどうかを診断することで、治療方針を決定することができます。乳がんリンパ節手術には、腋窩リンパ節郭清とセンチネルリンパ節生検の2つの主要な方法があります。

腋窩リンパ節郭清は、乳がんが腋窩リンパ節に転移していると診断された場合に行われます。手術では、腋窩のリンパ節を一部または全部切除します。切除する範囲は、がんの進行状況や患者の状態によって異なります。

センチネルリンパ節生検は、腫瘍に最も近いリンパ節(センチネルリンパ節)を切除し、がん細胞の有無を調べる方法です。がん細胞が見つからなければ、腋窩リンパ節郭清を省略することができます。この手術は、術前検査や術中検査を行い、正確なセンチネルリンパ節を特定するために、放射線や色素を使用します。

手術の手順は、まず麻酔を施し、乳房やわきの下に切開を行います。次に、選択されたリンパ節を切除し、病理検査でがん細胞の有無を確認します。最後に、切開部を縫合し、術後のケアを行います。手術の成功率は非常に高く、ほとんどの患者が良好な結果を得ています。

 

腋窩リンパ節郭清とその必要性

腋窩リンパ節郭清は、乳がんの治療において非常に重要な手術です。リンパ節に転移したがん細胞を除去することで、がんの進行を防ぎ、再発リスクを低減することができます。また、リンパ節の病理検査を通じて、がんの全身への転移があるかどうかを把握することができ、さらなる治療が必要かどうかを判断できます。

しかし、腋窩リンパ節郭清には、副作用やリスクも伴います。例えば、腫れや感覚異常、リンパ浮腫などの症状が現れることがあります。これらの問題を回避するために、センチネルリンパ節生検が開発されました。これにより、必要のないリンパ節切除を避けることができるため、患者のリスクと苦痛が軽減されます。

 

センチネルリンパ節生検と腋窩リンパ節郭清の省略

センチネルリンパ節生検は、乳がんリンパ節手術の新しい方法です。この手技を利用することで、がん細胞が転移していない場合、腋窩リンパ節郭清を省略できることが判明しました。これにより、手術の侵襲性が軽減され、患者の苦痛やリスクが低下します。

センチネルリンパ節生検は、術前検査や術中検査を正確に行うことが重要です。これにより、腋窩リンパ節郭清が必要かどうかを判断することができ、患者に適切な治療を提供することができます。しかし、センチネルリンパ節生検にも限界があり、すべての患者に適用できるわけではありません。そのため、医師と患者が密に連携し、最適な治療方針を決定することが求められます。

 

手術後のリンパ浮腫予防とケア方法

リンパ浮腫は、リンパの流れが悪くなることで、手術後に腕や皮膚に腫れが生じる可能性があります。予防とケア方法には以下のようなものがあります。

– 腕の運動: 術後早期から腕の運動を行い、リンパの流れを促進させることが大切です。

– 温存治療: 乳房温存療法や腋窩リンパ節温存療法を選択することで、リンパ浮腫のリスクを低減できます。

– 適切なケア: ケア方法には、リンパマッサージや着圧ソックスの着用があります。これらがリンパ浮腫の予防に役立ちます。

– 定期検診: 定期的に病院でリンパ浮腫の診断や治療を受けることで、早期発見・早期治療が可能になります。

– 生活習慣の改善: 喫煙や飲酒、ストレス、過度の塩分摂取などの生活習慣を見直し、リンパ浮腫のリスクを下げましょう。

これらの方法を身につけることで、手術後のリンパ浮腫の予防とケアが可能です。

3.乳がんリンパ節転移の影響と生活への対処法

乳がんリンパ節転移は、がん細胞が乳房周囲のリンパ節に広がる現象です。これにより、全身への転移や再発のリスクが高まります。対処法には以下のポイントが挙げられます。

– 再発予防: ホルモン療法や化学療法、放射線治療などの治療を行い、再発リスクを低減します。

– リハビリテーション: 手術後のリハビリテーションで、運動機能の回復を目指します。

– 睡眠習慣の見直し: 良質な睡眠を確保し、免疫力を向上させましょう。

– 栄養バランス: 栄養バランスの良い食事で、体力や免疫力を維持します。

– 定期検診: 定期的な検診や診療で、病状の進行を抑えます。

– 心のケア: 精神的なサポートが必要な場合は、カウンセリングやデイケアプログラムを利用しましょう。

これらの対処方法を実践することで、乳がんリンパ節転移の影響による生活の質を向上させることができます。

 

リンパ節転移と余命についての真実

リンパ節転移は、癌の進行を示す重要な指標であり、余命に影響を与える可能性があります。しかし、以下の事柄を考慮する必要があります。

– 治療の進歩: 現代医療では、リンパ節転移があっても生存率が向上しています。適切な治療を行うことで、予後が改善される可能性があります。

– 他の要因: 余命はリンパ節転移だけで決まるわけではなく、がんの種類やステージ、免疫力、合併症など、様々な要因が影響します。

– 個々の状態: 正確な余命は、個々の病状や治療法によって異なります。

– サポート: 医療チームや周囲の支援により、生活の質や精神的安定に寄与します。

リンパ節転移があっても、適切な治療やサポートを受けることで、より良い予後が期待できます。

 

再発予防や治療負担を軽減する生活習慣の工夫

乳がんの再発予防や治療負担を軽減するために、生活習慣の工夫が大切です。

まず、健康的な食生活を心がけることが重要で、野菜や果物を多く摂取し、脂肪や砂糖の摂取を控えることが必要です。

次に、適度な運動を習慣化し、体力や免疫力の維持に努めます。

– 有酸素運動(ウォーキングやジョギングなど)

– 筋力トレーニング(軽いウェイトリフティングやヨガなど)

– 柔軟性向上のためのストレッチング

また、ストレス管理が再発予防に大きく関わります。リラクセーションや呼吸法を取り入れ、心身のバランスを整えることが求められます。

さらに、十分な睡眠を確保し、疲労回復を効果的に行うことが大切です。

最後に、定期的な検診や医療相談が欠かせません。早期発見が再発予防や治療効果向上に繋がります。

これらの生活習慣の工夫が、乳がんの再発予防や治療負担の軽減に繋がります。

 

乳がんリンパ節転移患者の支援とケア

乳がんリンパ節転移患者に必要な支援とケアを以下に示します。

第一に、適切な情報提供と患者の病状説明が求められます。患者自身が状況を理解しながら治療選択ができるように、医療従事者から丁寧な説明を受けるべきです。

次に、心理的なケアは重要です。リンパ節転移という診断は、患者の精神面に大きく影響するため、カウンセリングやサポートグループへの参加が役立ちます。

また、リンパ浮腫や痛みの軽減に効果的なケアが必要です。マッサージや圧迫療法、運動療法の導入でリンパの流れが改善され、症状の緩和が望めます。

さらに、リハビリテーションや患部のケアが大切です。術後の機能回復や予防策をしっかりと取り入れることが求められます。

最後に、家族や友人からのサポートも重要です。精神的な支えや日常生活の援助が、患者の心身の健康回復に繋がります。

乳がん患者様の改善症例

快適医療ネットワーク理事長

監修 
医学博士 上羽 毅

金沢医科大学卒業後、京都府立医科大学で研究医として中枢神経薬理学と消化器内科学を研究。特に消化器内科学では消化器系癌の早期発見に最も重要な内視鏡を用いた研究(臨床)を専攻。その後、済生会京都府病院の内科医長を経て、1995年に医院を開業。
統合医療に関する幅広し知識と経験を活かして、がんと闘う皆様のお手伝いが出来ればと、当法人で「がん患者様の電話相談」を行っております。