• 2025.12.04 2026.09.10
  • 肝臓がん

肝臓がんは治りますか?治療法・生存率・医師選びを解説

肝臓がんと診断され、治療法や今後の見通しについて調べている方へ。肝臓がんの治療法は、この十数年で大きく進歩しています。手術や薬物療法、放射線治療といった選択肢は年々広がり、検査の精度も上がってきました。肝臓がんの原因や症状、検査の流れ、治療法の種類や生存率について解説します。再発への向き合い方や、信頼できる医師の選び方まで、知っておきたい情報を整理してご紹介します。

1.肝臓がん治療の現状と未来

治療法の絵とハート

肝臓がんの治療は、検査の技術と薬の両方が、この十数年で大きく進歩しました。

以前は肝臓内の小さな腫瘍を見つけにくく、発見されたときにはすでに進行しているケースも多いものでした。今は超音波検査やCT、MRIといった画像診断の精度が上がり、小さな腫瘍でも見つけやすくなっています。ラジオ波焼灼術のように、外科的に大きく切らずに済む治療法も選べるようになりました。

また、がん細胞だけを狙い撃ちする分子標的薬や、免疫の力を活かす免疫チェックポイント阻害薬も登場しています。手術が困難な患者さんにも、新しい選択肢が広がってきました。

こうした技術の進歩を知っておくと、今後の治療方針を医師と相談するときの見通しが立てやすくなります。

肝臓がんの治療法は、手術局所療法薬物療法という大きく3つのカテゴリーに分かれています。

手術は、がんを含む肝臓の一部を切り取る治療で、根治を目指せる可能性が高い方法です。局所療法には、針を刺してがん細胞を焼くラジオ波焼灼療法や、肝動脈から薬剤を直接注入するTACE(肝動脈化学塞栓療法)などがあります。手術が難しい場合の選択肢になります。薬物療法は、分子標的薬や化学療法薬などを使い、がんの増殖を抑えたり、全身に広がったがんに対応したりする方法です。

肝臓がんが治るかどうかは、がんを完全に取り除けるかどうかだけで決まるものではありません。進行を長く抑えながら共存していくことも、治療の大切な目標の一つです。

それぞれの治療法にはメリットと留意点があり、どの治療法が向いているかは、がんの大きさや個数、肝臓の機能の状態によって変わってきます。複数の選択肢があることを知っておくだけでも、今後の話し合いの参考になるはずです。

肝臓がんは本当に良くならないのか?
同じ肝臓がんと向き合い、乗り越えた方がいます。実際の記録をご覧ください。

肝臓がん手術不可・余命2ヶ月の症例|11cm腫瘍も、転移も完全消失 肝臓がん余命3ヶ月の症例|肝臓は完全消失、肺転移も大幅縮小 3cmの肝臓癌が完全消失、2年経っても再発せず経過良好。

2.肝臓がんとは何か

医師と肝臓がんの絵

肝臓がんは、肝臓の細胞が何らかの原因で異常に増え続けるようになった状態を指します。

肝臓は、栄養を体で使える形に変える代謝、不要な物質を分解する解毒、消化を助ける胆汁をつくる働きを担っています。さらに、出血を止める凝固因子をつくる働きまで、一手に引き受ける臓器です。まるで体の中の化学工場のような存在で、休みなく働き続けています。

肝臓は再生する能力が高い臓器としても知られていますが、その一方で、慢性的な炎症が続くと細胞にダメージが積み重なり、がん化のきっかけになることがあります。肝臓は痛みなどの症状が出にくいことから『沈黙の臓器』とも呼ばれ、機能が保たれている段階では自覚しにくいという特徴があります。

こうした基本的な仕組みを知っておくと、この後の原因や検査の話もつながりやすくなります。

肝臓がんは、発生の仕方によっていくつかの種類に分けられます。

肝臓そのものの細胞からがんが発生するものを原発性肝臓がんと呼び、その大部分を占めるのが肝細胞がんです。肝臓の中を通る胆汁の通り道である胆管の細胞から発生する胆管細胞がん(胆管がん)も、原発性肝臓がんの一つに分類されます。

一方、胃がんや大腸がん、肺がん、乳がん、卵巣がんなど、体の他の部位にできたがんが血流に乗って肝臓に移ってきたものを転移性肝がんと呼びます。原発性か転移性かによって、もとになっているがんの性質が異なるため、治療の考え方も変わってきます。肝細胞がんの多くは肝硬変や慢性肝炎を背景に持つ一方、転移性肝がんはもとのがんの種類に応じた治療方針が中心になります。

自分のがんがどちらの種類にあたるのかを知ることは、治療の見通しを立てる最初の一歩になります。種類によって治療のアプローチが変わってくることを知っておくと、診断結果の説明も理解しやすくなります。

3.肝臓がんの原因とリスク要因

医師とビックリマーク

肝臓がんの多くは、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの持続的な感染をきっかけに発症します。

これらのウイルスに感染した状態が長く続くと、肝臓で炎症が繰り返され、慢性肝炎から肝硬変へと進行することがあります。肝硬変になると、肝臓の細胞が繰り返しダメージを受けて修復されるサイクルの中で、がん化する細胞が生まれやすくなると考えられています。

肝炎ウイルスの治療も進歩しており、早期にウイルスの働きを抑えられれば、肝臓がんの発症リスクを下げられることが分かってきています。自分がウイルスに感染しているかどうかは、血液検査で調べることができるため、気になる場合は医療機関を受診してみるとよいでしょう。

原因がはっきりしていることは、今後の治療方針を考えるうえでも一つの手がかりになります。

ウイルス感染以外にも、日々の生活習慣が肝臓がんのリスクに関連していることが分かっています。

長期間にわたる過度な飲酒は、アルコール性の肝障害を引き起こし、肝硬変を経て肝臓がんのリスクを高める要因になります。また、近年は食生活の変化に伴い、お酒を飲まない人にも起こる非アルコール性脂肪肝(NASH)が増えています。肥満や糖尿病などの代謝の異常と合わせて、肝臓がんの原因の一つとして注目されています。

脂肪が肝臓に蓄積した状態が長く続くと、慢性的な炎症につながり、肝臓の細胞に負担がかかり続けることになります。こうした生活習慣によるリスクは、ウイルス性のものと違って、日々の過ごし方によって発症のリスクを下げる予防的な取り組みにもつながりやすいという特徴があります。

自分にどのリスク要因が当てはまるのかを知っておくことは、これからの治療や生活を考えるうえでの土台になります。

原因が分かったところで、次は肝臓がんがどのような症状として現れ、どのように見つかっていくのかを見ていきましょう。

4.肝臓がんの症状と診断

お腹が痛む人

肝臓がんは初期には自覚症状が出にくく、健康診断などで偶然見つかることも少なくありません。

肝臓は『沈黙の臓器』と呼ばれる通り、がんができても初期には症状がほとんど現れないことが多く、別の病気の検査をきっかけに見つかるケースもあります。

がんが進行してくると、お腹の張りや右上腹部のしこり、痛みを感じるようになったり、食欲が落ちて体重が減少したりすることがあります。さらに進行すると、体がだるく感じる倦怠感や、皮膚や白目が黄色くなる黄疸、お腹に水がたまる腹水といった症状が現れることもあります。大きくなった腫瘍が、周囲の臓器を圧迫することもあります。

症状の出方には個人差があり、同じような症状が別の病気でも起こることがあるため、症状だけで自己判断せず、気になる変化があれば医療機関で確認することが大切です。早期発見が今後の治療の選択肢を広げることにもつながるため、症状の背景を知っておくと、体の変化に気づいたときにも落ち着いて対応しやすくなります。

肝臓がんが疑われるときは、通常いくつかの検査を組み合わせて診断を進めていきます。

まず血液検査で、肝臓の働きを示す数値や、腫瘍マーカーを確認します。次に、超音波検査やCT、MRIといった画像診断を用いて、肝臓の中に腫瘍がないか、大きさや位置、血管への広がり方などを詳しく調べます。

画像診断だけで診断が確定しない場合には、肝臓の組織を少し採取して顕微鏡で調べる肝生検が、皮膚から針を刺す穿刺という方法で行われることもあります。これらの検査結果を総合して、がんの進行度合いを示すステージが決定され、その後の治療方針を考える土台になります。

検査には外来で受けられるものが多く、時間や手間がかかるものもありますが、一つひとつの検査には、治療の選択肢を正確に見極めるための意味があります。検査の流れを事前に知っておくと、初めて検査を受ける際の心構えがしやすくなります。

検査でがんの状態が分かったら、いよいよ具体的な治療法を選んでいく段階に入ります。

5.肝臓がんの治療法

治療法が描かれた積み木

肝臓がんの治療の中でも、手術は根治を目指せる代表的な選択肢です。

手術には、がんを含む肝臓の一部を切り取る肝切除と、肝臓そのものを取り換える肝移植という二つの方法があります。肝切除には、開腹して行う方法と、お腹に小さな穴をあけて器具を入れる腹腔鏡下で行う方法があり、がんが3cm程度以下で個数が少ない場合などが良い適応とされます。

手術が行えるかどうかは、がんの大きさや個数、血管への広がり方に加えて、残った肝臓がどれだけの機能を保てるか、すなわち肝予備能によって判断されます。肝臓の機能はChild-Pugh分類といった指標で評価され、機能が十分に保たれている場合ほど、手術という選択肢を取りやすくなります。

肝移植は、肝硬変が進んで肝臓全体の機能が低下している場合などに検討される方法です。一定の基準を満たす患者さんが対象になりますが、提供される肝臓の数には限りがあるという現実的な側面もあります。また、お腹を大きく切らずに針を刺して行うラジオ波焼灼療法という方法もあります。カテーテルを肝動脈まで通して薬剤を注入するTACEなど、手術が難しい場合に選ばれる局所的な治療法もあります。

手術後は入院期間を経て、再発がないかを確認するための定期的な外来通院と検査が続きます。手術が可能かどうかは病状によって変わるため、担当医との相談を通じて判断していくことになります。

手術や局所療法が困難な場合には、薬による治療が重要な選択肢になります。

薬物療法には、がん細胞の増殖に関わる特定の分子をピンポイントで攻撃する分子標的薬があります。また、体がもともと持っている免疫の力を引き出し、がん細胞への攻撃を後押しする免疫チェックポイント阻害薬もあります。これらは、従来の抗がん剤とは異なる仕組みで働き、がんの進行を抑えながら生活の質の改善を目指す治療法です。

副作用の出方は薬の種類によって異なり、倦怠感や食欲不振、皮膚の症状などが現れることがあります。安全性を確認しながら担当医と相談し、体調に合わせて薬の種類や投与量を調整していきます。薬物療法は単独で行われることもあれば、手術や局所療法と併用して、根治を目指す治療の一部として使われることもあります。

薬の効果や副作用について理解しておくと、治療を続けていくうえでの自己管理もしやすくなります。

手術が困難な場合や、症状を和らげたい場合には、放射線治療という選択肢もあります。

肝臓がんに対する放射線治療では、陽子線や重粒子線といった先端の技術が使われることがあります。周囲の正常な肝臓組織へのダメージを抑えながら、がん細胞に絞って高い線量を直接届けられる方法です。手術が体への負担の面で難しい患者さんや、高齢の患者さんにとって、体への負担が比較的少ない有効な選択肢になる場合があります。

がんを小さくして根治を目指す目的で使われることもあれば、痛みなどの症状を和らげる緩和ケアの目的で使われることもあります。ただし、陽子線や重粒子線による治療を行える施設は全国でも限られており、すべての患者さんが受けられるわけではありません。担当医に相談しながら検討していく治療法の一つになります。

放射線治療という選択肢があることを知っておくだけでも、治療の幅を広く捉えられるようになります。

6.肝臓がんの予後と生存率

悩む人

肝臓がんの生存率は、がんのステージによって大きく異なります。

一般的に、がんが肝臓の中にとどまっている早期のステージほど、5年生存率は高くなります。がんが血管や門脈に広がったり、遠隔の臓器に転移したりしている進んだステージになるほど、数値は低くなる傾向があります。

ただし、これらの数値はあくまで過去に治療を受けた患者さん全体の平均的な統計であり、一人ひとりの経過をそのまま予測するものではありません。治療法は日進月歩で研究が進められているため、統計に使われているデータの時期と、実際に治療を受ける今の医療とでは、状況が異なっている場合もあります。

生存率の数値だけを見て一喜一憂するのではなく、自分のがんの状態や治療の選択肢について、担当医と具体的に話し合うことが大切です。数字の意味を正しく理解しておくことで、必要以上に不安を抱えずに治療と向き合いやすくなります。

肝臓がんの予後は、がんの進行度だけでなく、肝臓全体の機能がどれだけ保たれているかにも左右されます。

肝臓の機能は肝予備能と呼ばれ、Child-Pugh分類などの指標で評価されます。機能が良好であるほど、手術をはじめとする治療の選択肢が広がりやすくなります。

また、がんの大きさや個数、門脈や静脈といった血管の中にがん細胞が入り込んでいるかどうかも影響します。リンパ節や肺、骨、脳など遠隔の臓器に転移が認められるかどうかといった腫瘍側の要因も、予後に大きく影響を与えます。これらの要因は互いに関係し合っているため、一つの数値だけでなく、複数の情報を組み合わせて総合的に判断されます。

早期に見つかり、肝臓の機能が保たれているほど、治療の選択肢は広がりやすくなります。予後に関わる要因を知っておくと、自分の状態を担当医からの説明と照らし合わせやすくなります。

7.肝臓がんの再発とその対策

はてなとひらめきの積み木

肝臓がんは、治療がうまくいった後も再発が起こりやすい、特有の性質を持つがんとして知られています。

多くの肝臓がんは、慢性肝炎や肝硬変といった、肝臓の状態が悪くなった土台から発生します。目に見える腫瘍を手術で取り除いたとしても、その土台そのものががんを生みやすい状態のままであれば、別の場所から新しいがんが発生することがあります。進行すると、肝不全につながるリスクを抱えることにもなります。これは、畑の土壌が悪いと同じ場所からまた作物の問題が起こりやすいのに似た仕組みです。

また、手術の時点では画像検査に映らないほど小さながん細胞が、肝臓の中に残っている可能性もゼロではありません。再発は治療が失敗したことを意味するのではなく、肝臓がんという病気そのものが持つ性質の一つとして捉えられています。

再発の仕組みを知っておくと、治療後の通院や検査の必要性も納得しやすくなります。

再発のリスクを少しでも抑えるために、日常生活の中で取り組めることもあります。

【今日から意識したい3つのこと】

  • お酒の量を見直す
    肝臓への負担を減らすため、担当医と相談しながら飲酒量を調整しましょう。
  • バランスの良い食事を心がける
    栄養バランスの取れた食事は、肝機能の回復を助ける土台になります。
  • 定期的な検診を実施する
    小さな変化のうちに見つけられるよう、通院と検査のスケジュールを守りましょう。

こうした積み重ねは治療の代わりにはなりませんが、安心して治療を続けていくための効果を支える大切な習慣になります。

8.肝臓がん治療における名医の選び方

紙でできた病院

肝臓がんの治療は専門性が高く、どの医師に相談するかも治療の見通しに関わってきます。

【医師選びで確認したい3つのポイント】

  • 専門医の資格を確認する
    日本肝臓学会など、専門の学会が認定する資格を持つ医師かどうかを調べてみましょう。
  • 症例数や治療実績を確認する
    病院が公開している治療件数や実績のデータは、判断材料の一つになります。
  • セカンドオピニオンを利用する
    他の医師の意見を聞くことで、説明への納得感や治療方針への理解を深められます。

こうした確認を重ねることで、自分が納得できる形で、安心して治療を進めていく土台が整います。

肝臓がんの治療には、専門医による多角的な視点が非常に重要です。

肝がんは、肝硬変や慢性肝炎といった背景疾患を伴うことが多い病気です。単にがんを取り除く外科的な技術だけでなく、残された肝臓の機能をどう維持するかという視点も同時に求められます。

専門医は、手術やラジオ波焼灼療法、薬物療法などの選択肢を、ガイドラインに基づく標準治療を軸に組み合わせます。患者さん一人ひとりの病状に合わせて、治療計画の決定を行います。再発のリスク管理や、全身の状態を踏まえた薬の調整、さらには看護スタッフによるサポート体制まで含めて、治療前から治療後まで一貫して関わる存在でもあります。

初めて受診する病院を選ぶ際は、こうした体制が整っているかも一つの参考になります。専門医とじっくり相談しながら治療を進めていくことが、納得感のある選択につながります。

9.まとめ

ここまで、肝臓がんの基本的な仕組みから、原因やリスク要因、症状と検査の流れを見てきました。手術・薬物療法・放射線治療といった治療の選択肢、生存率や再発への向き合い方、信頼できる医師の選び方までも順番に確認しました。

肝臓がんが治るかどうかは、がんを完全に取り除けるかどうかだけで決まるものではなく、進行を抑えながら長く付き合っていくことも、治療の大切な目標の一つです。

ここまで読み進めてくださり、ありがとうございました。今分かっていることを一つずつ整理しながら、ご自身やご家族のペースで、治療と向き合っていっていただければと思います。

快適医療ネットワーク理事長

監修 
医学博士 上羽 毅

金沢医科大学卒業後、京都府立医科大学で研究医として中枢神経薬理学と消化器内科学を研究。特に消化器内科学では消化器系癌の早期発見に最も重要な内視鏡を用いた研究(臨床)を専攻。その後、済生会京都府病院の内科医長を経て、1995年に医院を開業。
統合医療に関する幅広し知識と経験を活かして、がんと闘う皆様のお手伝いが出来ればと、当法人で「がん患者様の電話相談」を行っております。